ヤンヤンギャンギャン騒ぎながら攻防戦を繰り広げていると、「うわっ」ふと第三者の声。
動きを止めた俺と御堂先輩がぎこちなく視線を向こうに流せば、あははのは…、最悪、会場にいる方々が俺達を大注目してるじゃアーリマセンカ。
たらっと冷汗を流す俺等に対し、パーティーの出席者であろう一人の財閥青年が口を開閉させて俺達を指差した。そして絶叫。
「あ、あ、あの御堂財閥の長女がっ…、男嫌いのひとり娘がっ…、お、男を襲ってるっ!」
ほっらぁあああ!
あの青年も一目見て俺を男って言ってるじゃないっすかっ、俺は男っ……じゃないっ、ええぇえええっ、これはスンゲェ不味い誤解をされてっ。
スクープだと繰り返す青年のおかげ様で会場がざわざわざわざわ。
血の気が引くとはまさにこのことだと思う。
サァーッと青褪め、絶句している俺と御堂先輩は静かに視線をかち合わせ、三拍くらい呼吸を置いた後、「先輩のせいで!」「君のせいで!」お互いに責を相手に擦り付けた。
「君がさっさと確認させないからっ、ケッタイな誤解をっ…、責任取れ!」
「な、何言うんっすか! 御堂先輩が変なこと言い出したせいっすよ! …っ、どぉおおしてくれるんっすかっ、此処には俺の彼女がいるのにっ…!」
こんな空気を作っちまったら嫌だって彼女の耳にっ、嗚呼、向こうから殺気を感じるような気が。
ドッドッド、危機と緊張のあまりに高鳴る鼓動。
ガタブルで視線を投げれば、大雅先輩が青い顔でやばいってと指で俺に合図。
我が彼女を直視した俺は大後悔した。
だって満面の笑顔でフォークを握り締めてる。
そのフォーク、若干曲がってる気がしないでもっ。
おぉおおお俺は被害者っすからねっ、鈴理先輩ィイイイ!
だけどいっちゃん気がおさまっていないのは御堂先輩らしい。
「すべて君が悪い!」
君は女なんだろう? そうなんだろう? 捲くし立てる彼女は、ずんずんと俺に詰め寄ってくる。
だから俺は男だって!
訴えても全然聞いてくれない御堂先輩は、絶対に嘘だと喚き散らかした。



