キョトン顔を作る御堂先輩に、俺は悪ノリでへらへらと笑って異議申し立て。
襲いたいやら、愛らしいやら、素敵やら、そんなことを言ってからかっても何も出ないっすよ。
そりゃあ受け男ですけど、そう言われて嬉しいかと言われると否ですし。
周囲の雑音に交じって笑いを零すと向こうの方が絶句。
零れんばかりに目を見開き口元を手の平で覆うと、「口説いた」僕が君を…、まさかそんなっ、だって女にしか口説きは出てこない筈なのに…、とかなんとか言ってプチパニックに陥っている。
あ、嘘、無自覚だったんっすか。
そ…、そりゃあえーっと…、あの、すんませんっす。
今の言葉は忘れて下さいっす。
「み、御堂先輩」
目を白黒させている彼女に声を掛けた瞬間、御堂先輩は「まさか!」と声音を上げて皿をテーブルに置き、ずんっと俺に詰め寄ってきた。
でもっておもむろに手を伸ばしてくる。
何かされるんじゃないかと警戒心を募らせる間もなく、胸部辺りをぺたぺた。
「…やはり無いな」
おかしいなぁと首を傾げてくる御堂先輩だけど、俺の方がおっかしいなぁだよ。
なんでこの人、俺に触ってくるんでっしゃろう?
てかっ、なんでこの人は俺のボタンを外しっ…、此処会場っ、場所お構いなしにそんなことするの鈴理先輩以外知らないっすよぉおおお!
「な、何するんっすかぁあああ! ちょ、やめて下さいって!」
「実はサラシを巻いて男の振りをしているんじゃないかと思ってな。男装趣味のある僕のように、君も男装趣味があったり。
……豊福、ついでだから白状してしまえ。君、実は女だろ?」
んーんーんー?
今、なんって言った? 俺が女? まっさか、俺はまごうことなき男っすけど。
「……、藪から棒になんっすか。俺、男っすよ。頑張ったって女には見えないと思いますっす」
ちゃーんとついてるもんついてますし、声変わりもしてますし、此処では大声で言えないけど鈴理先輩の彼氏とゆーとるじゃないっすか。



