「御堂はさ。女として愛されたいんだよ、誰でもないお前に。
結局、今の空が抱く気持ちって家族に抱くような気持ちだろ? 守ってやりたい気持ちってさ。
対して竹之内に抱いている気持ちは女性を愛する気持ちだ。
そりゃ向こうに取っちゃもどかしいだろうぜ。私も女性として愛して欲しいわ! みたいな?」
「変な話だよね。家の事情で破局した俺と鈴理先輩がいる一方で、家に事情で婚約した俺と御堂先輩がいるんだから」
「それが気持ちに明確な差を生んでいるんだろ? 時間を掛けて女性を意識させた竹之内。女性を意識させる前に、半ば強制的に家族になった御堂。
お前にとって前者の方が思い入れが強くなっちまったってことだ。環境が人を変えるっつーけど、恋心は例外なのかもな」
大変だね、お前の恋愛事情も。
能天気に笑ってくるイチゴくんは、「それで?」答えが出ないで困ってるのか?
ずかずかと俺の心意を追究してくる。
宙を見つめ瞬いていた俺は、「傍にいたいと思ったんだ」と返事した。
「今のままじゃ御堂先輩、いつか淳蔵さまの心無い策略によって崩れてしまう。今日の先輩を見て傍にいて支えたいと思ったんだ。
あの人は強いようで、繊細だから。
崩れる御堂先輩を見たくない。
守りたいんだ。傍にいたい。
好き、とはまだ言えないけど、でも俺だって彼女を想う気持ちはある」
「空……」
「もう、覚悟は決めているんだよ、イチゴくん。俺は御堂先輩の婚約者。あの人の姫。王子が奔走しているのに、何もしないわけにもいかない。
博紀さんの目があるから、思うように動けないし、上辺は従順ぶっておかないといけない。それでも、俺はあの人を守らないと」
足掻いても、駄目だったらあの人と堕ちようと思う。
あの人はそれだけの覚悟を決めている。
なら、俺もそれだけの覚悟を決めたい。
―――…ねえイチゴくん。
この気持ちは決して借金や身分からじゃない。一端の男が女性に対して抱く気持ちなんだ。
これは胸を張って言えることなんだよ。



