「部活って何かとお金と時間を取られるのでしてないんっすよ。
俺、特待生ですから…、特に勉強の時間は割きたくないですし。
でも部活って楽しそうっすよね。演劇かぁ…、御堂先輩はどんな役をしてるんっすか?」
もっぱら男役をしていると目尻を下げる御堂先輩は、「特に王子役が多いな」と俺の皿からまたスモークサーモンを掻っ攫って口内に入れる。
自分で取って下さいよ…、料理は沢山あるんだから。
愚痴を零しつつも、彼女の台詞にはなるほどっと相槌。そんな感じがする。
だって男装してるしな、御堂先輩。
顔立ち良いし、演じてる姿はカッコイイんだろうなぁ。
「公演はしないんっすか?」
一般参加が可能なら、是非行ってみたいと申し出てみる。
「あるぞ」
日程はまだ決まっていないが、決まったら誘うから、御堂先輩はくしゃりと笑って約束してくれた。
それは楽しみだ、俺も頬を崩す。
なんだ、普通に喋ると御堂先輩って優しい人じゃんか。
男嫌いって難点があるだけで、それを除けば気さくな女性なんだ。
勿体無いなぁ、性格で損してるなんて。
本当に勿体無いと思ったから、彼女に今思ったことをストレートに伝える。
すると御堂先輩は「男は嫌いだ」むっすりと脹れ面を作った。
「僕がどうして男に優しくしてやらないといけないんだい? 断じてお断りだ。男なんて全員滅べばいい」
「ははっ、そんな殺生な。俺も滅ばないといけないじゃないっすか。
まあ、無理に男嫌いを直せなんて言わないっすけどね。
俺も高い所が嫌いで…、それをすぐに直せって言われても無理ですし。
でも御堂先輩なら素敵な人が現れそうっすけどね」
「君のような素敵な人物が現れるとは思えないがな」
肩を竦める御堂先輩の隣で、俺はあれおかしいぞ、と顔を引き攣らせた。
さっきから口説かれている気がしないでもないんだけど…、これは気のせい…、なんだろうか?
襲いたいやら、愛らしいやら、素敵やら、そんなことを言われてるけど…、だ、だ、大丈夫。
俺は男としてカウントされていないんだ。
てことは、あれか、からかってるんだな。
だから言った。
「またまたぁ。からかうのはよして下さいよ」って。



