前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―


 

翌日。


三時間ほど仮眠を取り、ギリギリで学校に登校した鈴理と大雅を待っていたのは意外な人物達だった。

その人物達は元カレからエビ、アジとあだ名を付けられている友人。自分達の後輩だ。

挙動不審な動きを見せながら、昇降口前で待ち伏せていた。

彼等は此方の姿を捉えるや血相を変えて自分達を確保。
人気のない校舎裏まで半強制的に誘導してきた。
 

間もなくチャイムが鳴るのだが、二人の凄まじい慌てっぷりに連行された不快も霧散する。

また、彼等が行方知れずになっている空の情報を持っているのだということは一目瞭然だった。でなければ、自分達は話す接点も持たない。

 

「なにっ? 豊福が御堂のじっちゃんの下で幽閉されている?!」
 

  
フライト兄弟からかくかくしかじかで説明され、大雅は頓狂な声を上げた。

それは確かな情報なのか。鈴理が追究するとアジがうんうんと首肯してくる。

曰く、成り行きで空の傍にいる友人のひとりがメールを送ってきたとか。


電話も頂戴したらしく幽閉された本人とも話したらしい。
 

命令に背いた空は見知らぬ一室で幽閉されてしまった。

それだけではない。

メールによると六日後に正式な婚約式があるらしく、それを終えたら学校を転校させられるらしい。

更に空は名を捨てさせられ一切合財、豊福家と縁を切らされるのだとアジは説明してくれた。


彼は住まいも名前も思い出すらも奪われてしまう。これが命令に背いた懲罰なのだとエビが補足し、眉根を下げた。


「なんてことだ。話はそこまで深刻化しているのか。甘く見ていたな」


鈴理は顔を顰める。

元カレの両親に対する気持ちは山よりも高く、谷よりも深い。ゆえに御堂淳蔵の下した罰は何万トンもの重さを感じることだろう。

「婚約式は玲にとっては喜ばしいことだろうが」

このような形で挙式をあげるなど嬉々どころか鬱々とした気持ちに駆られているに違いない。

「結局のところ居場所は分からずじまいか。空自身も分かっていないようだし。空と連絡は取れるのか?」


「空の傍にいる友人となら。花畑って言うんっすけど、こいつが空の傍にいてくれているから、なんとか……、ただこっちからメールを送れても返信は期待できません。あいつ等も隠れて連絡を取っているみたいで」


「では、その花畑という友人のメアドを教えてくれないだろうか? あたしから直接連絡をしたいから」

「花畑もそれを望んでいると思います。メールに、あなた方の協力を得たいと記されていましたから」