「お前は本当に御堂が大切なんだな」
イチゴくんが一笑を零してくる。
「ずっと支えてもらったからさ」
それだけの気持ちを返したいんだよ。
瞼を下ろし、彼女を想う。
あの人には本当に支えてもらった。
彼女がいなかったら、俺は今頃どうなっていたんだろう。
元カノと許婚の抱擁光景、大破局したあの時、借金を背負ったあの瞬間、どんな時も彼女は傍にいてくれた。
誰よりも守りたい、御堂先輩のことは。
それこそ鈴理先輩よりも。
「だけどさ。好きと守りたいってちげぇだろよな。イコールだったら楽なのによ」
ホンット人の気持ちを見透かすのが上手いんだから。
返す言葉も無く、俺は黙ったまま肩を竦める。
「勝手なことをして心配させたんだし今頃、御堂の奴、抱く準備をしていたりして」
空気を明るくするためにイチゴくんが話題を替えてきた。
「ははっ。まさ…、か」
背筋が凍ったのは何故。
本能が警鐘を鳴らしている気がするのは何故?!
まさか御堂先輩、本当に準備なんてしているんじゃ。
あっはっはっ、まっさか! 緊急事態だぞ!
無茶苦茶大変な時にセックスなんて不埒なことを思っているわけないじゃないか。
確かに一回目の電話で無言を貫いちゃったから、抱くとか泣かすとか言われたけどさ。
言われたけどさ。
言われたけど……、……、……鈴理先輩にも、演技とはいえ下手こいちゃったし。
もしかして俺って危なかったりする?
俺は自分の体を見つめ、「やだ。ちょっと太ったみたい」シャツの上から脇腹の肉をつまんでみる。
「こんな体じゃ彼女に見せられない。ダイエットしなきゃだわ」
今のままじゃウェディングドレスも着れないじゃない。
頬に手を添え、溜息をつく。
「一週間以内で痩せられるかしら? 婚約式に間に合えばいいのだけれど」
「空、戻って来い。お前が現実にすんげービビッているのはよく分かったから」
「……だってイチゴくんが! おっそろしいことを! 言うから! 本気でダイエットを! しようと、思って!」
「空はタキシードだろうよ。ガチでウェディングドレス着るつもりか?」
呆れ返るイチゴくんが手招きしてくる。
ソファーに歩むと、「今出来ることはやっておこうぜ」現状をメールしておこうと携帯画面を見せてきた。心強いこと極まりない。
俺は相手にありがとうと気持ちを伝える。ここまで手を貸してくれるイチゴくんの優しさは忘れない。
そう言うと、「全部終わってから感謝してくれ」んでもってまたバッティングセンターに行こうぜ、背中を思い切り叩いてきた。



