前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



□ ■ □
  
 
地獄。
  
これ以上にない苦しみを受けている現状を指す生き地獄と、宗教的な死後観において悪い事をしたらそこで苦しみを受ける奈落、二つの意味がある。
 

俺の場合はまだ生きているので当然前者。

今まで生きてきた中で一番の苦境に立たされていると思われる。


だって俺の行動一つで周囲の未来が変わって来るんだぞ?

何をしても誰かを傷つけ、誰かを不幸にすることしかできない。


それくらい酷なことを俺はさせられそうになった。

いやさせられた。
まんま生き地獄だ。


我が身可愛さに周囲の被害が少ないであろう地獄を選んだはいいけれど、やっぱり俺にとっちゃ地獄極まりない。


嗚呼、ほら、今も目の前に二つの地獄がある。

俺はいつだって二つの地獄の内、どちらかを絶対に選ばないといけないんだ。そう、絶対に。


“そーら。あたしを煽るだけ煽っといてうそぴょんとはどういうことだ!
むふふっ、いい度胸だ。アンタには過激な仕置きが必要だな。アダルティな玩具を使ってやる。

さあ来い! まずはアンタを縛って目隠しするところから始める。拒否権はないぞ。アンタはあたしの所有物だ”


絶対に選らば、えら…、えら?


“豊福。君のうそつきにはホトホト手を焼くよ。
そこもまた愛らしいが……、もっと正直になるレッスンが必要だな。さて此処に姿見と如何わしい薬の入った小瓶がある。

これを使って楽しくレッスンだ。大丈夫、快楽しかないから。な? 僕のフィアンセ?”



えらば…、ちょ、え、え?

突如、目の前に現れた地獄、いや天国? いやいや、やっぱり地獄。


片やあたし様が織り成す仕置きワールド(過激版)で、片やプリンセスが織り成すレッスンワールド(激烈版)。

おいでおいでと手招きしてくるあたし様とプリンセスのあくどい笑顔を交互に見やりながら俺は滝汗を流した。


前略、俺を育ててくれた父さん母さん。息子は大変な地獄を見ています。


え、これはどんな地獄でしょうか?
どちらを選んでもノットスチューデントセックスが打ち砕かれる地獄でしかないという……。
 

うわわわっ、鈴理先輩!

その鉢巻も手錠も要らないですし、アダルティな玩具とかそういうのも不要っす! 美人さんを台無しにするような真似はやめて下さい!


ぎゃぁああ御堂先輩!

鏡は勘弁してくださいぃいいい! 薬ってそれ、なんの薬っすかぁあああ! 王子、貴方は俺の王子ですよね! 姫の泣くようなことはしませんよね!


お二人方、落ち着いて! 早まったらおっかさん泣くっす!


貴方も私もスチューデント!

私も貴方もスチューデント!

反対から読めばと、とんでーちゅす…もたなあ、もしたわ?
うん、テンパり過ぎて意味分からん!
 

だぁあ、二人が迫ってきた!

あ、あの先輩方! セックスなんて毒々しい快楽を知ったら自堕落な生活を送りかねないっすよ!

子供ができたらどーするんっすか!

14歳の母ならぬ、俺は16歳の父!
先輩方は17歳の母になるっすよ!


まだ俺は親父になれる歳じゃないっす!


それ以前に俺は断固としてスチューデントセックスを拒否すッ、うぎゃぁああああ来ないで下さいぃいいいい!