前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―


 
恭しく返事をした使いがその紙切れを開く。

「なッ!」

驚愕したのは直後のことだった。

どうしたのだろう?

まさか、とても重大な任務を……、顔を引き締めるさと子に対し、赤面してわななく使いは、「これを買いに行くのですか?!」素っ頓狂な声音を上げていた。

勿論だと玲は爽やかな笑顔で答える。


「ネットでもいい。とにかく早めに揃えて欲しいんだ」

「し、しかしお嬢様! こ、こういったお品はまだお嬢様にはお早いですよ!」


「早くなんてないさ。僕はもう17だぞ? 16で結婚できる歳になるわけだし、問題はないさ。」


「なにを頼んだんや?」トロが使いのメモを覗き見。つられてさと子も覗き見。

絶句。揃って頭上に感嘆符を浮かべてしまった二人は、「こ。これ大人のアレやないけぇ」「お、お嬢様」ぎこちなく令嬢を凝視。

フフンと鼻を鳴らす某プリンセスは短髪を風に揺らし、あどけなく笑った。
 

「僕は有言実行するタイプなんだ。豊福と電話をした際、喋らなかったらその場で抱くと僕は言った。強く主張した。
結果、あいつは自ら口を閉ざす道を選んだ。

なら、お望みどおりに、ね。
刺激ある子作りも魅力的だと思わないかい?

ふふっ、泣いても喚いても勘弁してやらないんだからな、豊福。君から縋って求めるような情事にしてやる」

 
!!!


衝撃を受けるさと子とトロの傍らでは、「子作り!」近々お嬢様のお子様が見られるのですね、蘭子が感動に浸っている。

勿論感動する場面ではない。


「あろうことか婚約者であるこの僕に声も聞かせなかったなんて」
 

よほど抱かれたいようだ。
再会したらうんと可愛がってやらないと。

物騒なことを羅列して車に向かう玲。
心配ゆえに、実は婚約者に対して相当憤っているのかもしれない。

それが相談されなかったことに対してなのか、電話で元気な声を聞かせなかったことなのかは分からないが、とにかく彼女は激怒している。

攻め女として食らう気満々のようだ。

大股で車に向かう玲は早く来いと自分達に促してくる。


返事をしつつもさと子はこれまた複雑な念を抱かずにいられない。


嗚呼、本当に空を助けても大丈夫なのだろうか。助けたら助けたで大事件が起こりそうなのだが。


「あかん。あの攻めっぷり。惚れてまいそうやわ。……さと子ちゃん」

「お断りします」


キリッと真顔で見つめてくるトロをばっさり斬り捨てたさと子であった。