冷静な御堂先輩はさも当たり前のように返答。
「触ってみたかったんだ」と。
「鈴理が執拗に触っていたからな。もしや気持ちが良いのかと思って触ってみたんだが…、普通だな」
「あの人はちょっと変わってるんっすよっ!
お、男の腰を触ることを趣味としているというか、なんというか…、とにかくっ、鈴理先輩のやってることは普通じゃないので!」
というか俺、男っすよっ、貴方様の大嫌いな男っすよ!
なに逆セクハラしてるんっすか!
そう訴えても、「それなんだ」まったくもって不思議な事にそれなんだよ、とワケの分からんことをほざいて近寄って来る。
警戒心を高める俺を余所に、御堂先輩は俺の前に立つとこれまた一思案する素振りを見せた。
んでもって、おもむろに俺の胸倉を掴んで剥くようにカッターシャツを引っ張る。
目論見がちっとも見えなくて目を白黒にするしかない俺は、「あ…あのー」っと彼女に声掛け。
総無視する御堂先輩はツーッと俺の首筋から鎖骨にかけて人差し指を滑らせ、「キスマークが凄まじいな」独占欲の表れか、と独り言をポツリ。
途端に俺は頬を紅潮させる。
そ、それはあの、えっと、ち、違うんっす、虫刺されで…、年中無休、俺ってすっごく虫に刺されやすい血を持ってるんっす。あはは。
……とかそんな弁解、相手に通じなさそうだ!
うわぁああっ、鈴理先輩のバカァアア!
ま、毎度痕は付けるなってゆーとるのに!
小っ恥ずかしい思いをするのは誰でもない、俺だってゆーとるのにィイイイ!
心中で嘆き喚いている俺に追い撃ちを仕掛ける御堂先輩は胸倉から手を離して、意味深に俺を瞳に閉じ込める。
「こうして独占しているわりに、周囲には警戒心を持っていないんだな。
まあ君が平凡な容姿だからなのだろうけれど、それにしても警戒心を持たなさ過ぎだ。鈴理は」
今度こそ硬直する俺に、「君なんだろう?」噂の彼氏は、御堂先輩にズバリ犯人はお前だ的なノリで指摘される。



