前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―




「僕は豊福が好きだ。誰よりも好きだ。男になりたいと思う僕を理解してくれているあいつも、照れているあいつも、甘やかしてかしてくれるあいつも、全部好きなんだ。いつの間にか、本当になくてはならない大切な人になっていたんだ」


「玲……、あんた」


「あいつは馬鹿だ。逆らえばどうなるか分かっていたくせに、両親至上主義のくせに、これからの両親の立ち位置よりも僕の未来を取るなんて。
僕はッ、こんな形で守られたくなかった。こんな形で……っ、鈴理、君にだって譲らないし負けない」


「阿呆か! それこそ冷静を欠いている証拠だ! 今は勝ち負けうんぬんかんぬん言っている場合じゃないだろ! あ、待て玲!」
  

好敵手の脇をすり抜け、玲は正門を潜った。

蘭子とさと子が大慌てで追って来るが振り返る余裕はない。
 


どうしてこうなってしまった。



“貴方は女性として生まれて良かったんっす。女性は強いですよ、男なんかよりもずっと”


昨日まで隣に居てくれたのに。



“え、膝枕? 眠いんっすか? しょーがないっすね”


甘やかしてくれたのに。



“あ、また髪を濡らしたまま上がってきて。ったくもう、ちゃんちゃんするっす”


わっしゃわっしゃと髪を撫でてくれたのに。




“貴方は俺にとって守りたい人。必ず守ります。必ず”




「豊福っ…」



再会したら絶対抱いてやるからな、あと七日で勝負の勝敗もついたんだ。

待ってて欲しい。
今すぐ迎えに行くから。
彼女よりも先に迎えに行くから、だから無事でいて。



「これ以上、ジジイの思い通りにはさせない。絶対に」