「これからどうっすっかな。御堂家には帰れないし。淳蔵さんの家も、分からないし」
きっと淳蔵さんはもう、俺の失態を耳にしている頃だろう。
情報通らしいから。
公園にいる俺の居場所も把握しているんだと思うよ。
アイタタタ、今後のことを考えると胃痛が増しそう。
……淳蔵さんは、俺の忠誠心を見極めるために鈴理先輩と繋がり、データの破壊を命じた。
結果的にそれは御堂家の糧になることだということも俺に教えてくれた。
勿論言葉の意味は分かったんだ。意味は。
ただ命じられた時、俺は言葉の意味は分かれど、発言者に対する理解は出来なかった。
どうしてそんなことをする必要があるのか?
そんなことをすれば御堂財閥は竹之内財閥、並び二階堂財閥と対峙する関係になってしまう。
財閥共栄ではなく、財閥支配を選んだ淳蔵さんは二財閥を乗っ取りたいんだろうか?
弱みでも握りたいのだろうか?
自分の物にしたいのだろうか?
嗚呼、なんちゃって財閥子息候補の俺でさえ彼の野望がなんとなく読めてしまった。
どうしよう、俺はどうすれば良い?
命じられたその夜は、吐きそうな気持ちで一杯だった。
従順になっても針山地獄、逆らっても灼熱地獄、どちらにしろ地獄行きの切符しか手に出来ないという鬼畜っぷり。
天国? 最初からアウトオブ眼中である。
はてさてどうしたものか。
俺は針山地獄に身を投げるべきか、灼熱地獄で身を焦がすべきなのか。
どっちにしたって痛い思いをしなきゃなんないんだけど、できることなら受ける痛みは小さな方がいいな。
随分思い悩んだよ。
身内の御堂先輩やご両親には相談できなかった。
しっかり口止めされていたから。
こっそりと相談すれば良い知恵を貸してもらえたかもしれない。
味方についてくれたかもしんないし、淳蔵さんの命令を止めてくれたかもしれない。
けれど賢い淳蔵さんのことだ。
何処かで俺を監視しているだろう。
だからこそ口が裂けても相談ができなかった。
大好きな人達の表情を曇らせるのも嫌だったしな。本当にご家族は好くしてくれるから。



