比較して首を傾げる鈴理は、まあ中身を開いてみれば分かるかと自己完結。
挿し口にUSBメモリを当てた。
刹那、楓に止められる。
その声音の大きさに鈴理だけでなく大雅や真衣も驚愕した。
いきなり大声出すなよ、大雅の文句も受け流し、楓はそのUSBメモリを見せてくれるよう頼んできた。
彼にそれらを手渡すと、楓は眉根を寄せて比較する。
次いで、「ねえ鈴理ちゃん」最近、変わったことはなかった? と質問を飛ばしてきた。
「なんでもいい。身近な出来事でちょっとした変化があれば教えて欲しいんだけど」
「変化、ですか? いや、これいって」
一件心当たりはあるものの、それを口にすることは出来なかった。
が、聡い楓は「あったんだね?」しかもそれは豊福くんのことでしょ? とずばり言い当てる。
図星を指され、鈴理は動揺した。
その態度にやっぱりと楓は目を細め、真衣に使わないパソコンがあれば持って来てもらいたいと指示する。
その際、インターネットに繋いでいないパソコンが良いと付け加えて。
それは構わないが一体どうしたのだ? 真衣が問い掛けると、「御堂淳蔵が仕掛けてきたんだ」USBメモリを睨み、舌を鳴らした。
「彼が動き始めた。さしずめ豊福くんを使って僕等の持つデータを奪おうってところじゃないかな。多分これ、ウィルス入りのUSBメモリだよ」
「はあ? なんだそれ」
「なんだも畜生もないよ大雅。御堂淳蔵ってそういう男さ」
僕は前々から御堂家の婚約者に疑問を抱いていた。
何故、御堂家が一般の男を婿養子候補に選んだのか? と。
無論それは世継ぎ問題が絡んでいるんだろうけど、借金を背負った男をわざわざ狙う必要性なんてあるんだろうか。
幾ら愛娘が気に入っている男だからといえ、借金を負った男を婿養子候補に選ぶなんて得も益もない。
御両親がよく思っても御堂淳蔵がメリットのない男を快く身内として受け入れるとは思えない。
なのに彼は率先して豊福くんを受け入れた。理由は一つしかない。
「彼が鈴理ちゃん、大雅と仲が良いからさ」
「俺達が?」
「そうだよ大雅。
御堂淳蔵はね、孫の恋心とは別に彼の立ち位置に目を付けたんだ。彼なら容易に二人と接することが出来るし、なにより鈴理ちゃんは彼と一時であれど親密な関係だった。
この立ち位置を利用しない手はない。
豊福くんだって借金を肩代わりしている身の上、御堂淳蔵の命令には服従するだろうし」
やってくれるね。
楓は軽くUSBメモリを握り締めると、「やっぱり豊福くんは危険だ」手を打った方が良い、と吐露した。



