前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―




「わす、れていたよ。君が根っからのうそつき、だってことを。だまされた。君の笑顔にだまされた」
 


覚束ない足取りで机に歩む。

何度も拭き掃除された机上は埃すら見当たらない。


よく掃除されているのだろう。

綺麗に拭いて自分たちにそれを返すために。


血の気を引かせる玲はどうして気付かなかったんだと苦言し、両手で机上を叩いた。


落ち着け。
落ち着け。

おちつけ。


自分に言い聞かせるが動揺が隠せない。どうしても。


「玲お嬢様」
 

後を追って来たさと子がそっと近付いてくる。

「豊福が出て行った」

歩んでくるさと子に向かって玲が声を振り絞る。

「早くあいつを」

あいつを止めないとっ、声音を震わせ、崩れるようにさと子に縋った。


「豊福の奴っ。最初から鈴理と肉体関係を持つつもりなんてッ、ないんだ」


「え」戸惑いの声を上げる彼女に血反吐を吐くような思いで声音を張った。


「あいつの身辺整理がそれを教えてくれているっ。豊福はジジイの命令に逆らう気でいるんだっ。
もう此処には戻ってこない。
タダでは済まないと分かっていながらひとりで、逆らおうとしているんだ!」