「蘭子。頼んでいる情報の方はどうだ?」
「例の情報でございますか? いえ、何も。お嬢様の望む情報は入ってきていません。夜逃げされて、そのまま姿を晦ましているようです」
「そうか。豊福に借金を押し付けた人物さえ掴むことができたら、あいつも借金やジジイのことなんて気にせず僕の側にいられるのに」
眉尻を下げる玲は純粋な関係になりたいと教育係に零した。
「お嬢様」憂慮を含む眼を受け止めつつ、玲は吐息をつく。
借金がある限り、自分たちは本物の関係になれないだろう。
例え勝負に勝ったとしても、純粋な好意は手に入らないと玲は悟っていた。
好敵手は金や権力など使わず、己のみを勝負に使い、見事に婚約者のハートを手に入れた。
対して自分は借金の肩代わり。気持ちに差が出るのは当たり前だと考えている。
だからこそ早く借金というシガラミを取っ払いたかった。
借金さえなくなってしまえば、祖父の言うことも聞かなくて済む。
幾ら御堂家の長だとはいえ、孫の婚約者をどうこう言うこともなくなるだろう。
此方が息子を産めば、それで話が終わるだけ。
自分の席は実子の父にさえ譲らない。
自分が常にトップに立っておきたい奴なのだ。
お迎えがくるまで頂点に立たせておけば、それで終わるだろう。
借金が無理なら早くクタバラナイだろうか?
不謹慎なことを思ってしまう始末だ。
呻く玲に、「本当に空さまがお好きなのですね」そんな貴方様を蘭子は全力で応援します。
教育係に微笑まれてしまい、玲は気恥ずかしさから咳払い。
「からかうな」
僕は真剣なんだ、と腕を組む。
知っていますよ、蘭子に笑われてしまい、ますます気恥ずかしくなってしまう。
「蘭子。頼りにしている。僕は所詮子供だ。やれることは限られている。……分かったらすぐに知らせてくれ。時間が掛かってもいいから」
「はい。畏まりました、お嬢様」



