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(―――…なんだ?)
その時、友達と談笑していた玲は妙な胸騒ぎを感じていた。
今朝から違和感は感じていたのが、今、自分の胸に過ぎったのは嫌な喧騒だった。
まるで未来が自分に警鐘を鳴らしているような。
気のせいだろうか。
不快でむず痒い気持ちに眉根を寄せていると、友人から何か思うことでもあるのかと話題を振られる。
友人は玲の態度に談笑していた内容に対して、何か思うことでもあったのではないかと見たようだ。
何でもないと綻ぶ玲だが、気持ち的には落ち着かない。何故だろうか?
もやもやした気持ちに見舞われながらも、玲は気のせいだと自身に言い聞かせ、昼休みを過ごす。
もしかしたらこの気持ちは婚約者とさと子に原因があるのかもしれない。
ここ数日、さと子の様子がおかしく、また二人の関係がギクシャクしている。
あれだけ仲の良かった二人が何故? というのが玲の率直な気持ちだ。
なによりさと子があれだけ婚約者に懐いていたのに、180度態度を変えてよそよそしくなってしまった原因が見えない。
二人の関係は兄妹のようだ。
ドジばかり踏むさと子を、よく婚約者が面倒看ている。
自分だってさと子は妹キャラとして見ているため、彼と共に可愛がっている子なのだが。
さと子に何があったのだろう?
二人が喧嘩するなんて想像もつかない。
昼休みが終わり、午後の授業を受けている最中も玲の胸騒ぎは続いた。
気のせいだと言い聞かせれば言い聞かせるほど、未来が気付け、早く気付けと急かしてくるような。
おかげで午後の授業は散々だった。
当てられても答えられないは。
珍回答をしてクラスメートに笑われるは。
得意の体育もからっきしだは。
こんな調子では今日の英会話も身に入らないだろう。
幸いなことに今日は部活に赴く日ではないため、玲は一安心した。
これで部活が入っていたら、部員に迷惑がかかっていたことだろう。
それだけではない。
再度共演が決まった神城達に何を言われるか。
心底ホッとした玲だが気持ちはざわざわざわと音を奏でるばかり。
どうしても気分が乗らなかったため、迎えに来てくれた蘭子には英会話をサボると言い放った。
突拍子も無い発言に蘭子から呆れられたが、こんな調子じゃ到底英会話は無理だろう。
向こうの呆れを一蹴して玲は家に直行で帰ると物申した。
家に帰って一息つけば、この気持ちも落ち着くと思ったのだ。



