「豊福。また此処で涼んでいたのかい? 好きだな」
今暫く夜風に当たっていると、風呂からあがってきた御堂先輩に話しかけられた。
ほっかほか体から湯気を出している御堂先輩に笑みを向ける。
しょうがないじゃないっすか。
此処は本当に気持ちが良くて好きなんっすよ。
いつまでも此処にいたいくらい、縁側は景色が良いんっす。
「あ。また」髪を濡らしたままあがって来て、俺が注意すると拭いてもらいに来たのだと当然の如く王子がのたまう。
俺は貴方の執事っすか。
呆れながら王子にちゃんちゃんするよう指示。
幼児言葉にも彼女は笑い、持っていたタオルを俺に放って隣に腰を下ろす。
わっしゃわしゃ。
わっしゃわしゃ。
水分を含んだ短髪をタオルで綺麗に拭い始めると、気持ち良さそうに御堂先輩が目を細めた。
そのイケた表情が蕩ける姿は見ていて飽きない。
「ドライヤーを持ってきた方がいいかもっすね。場所移動しましょうか?」
「いい。夜風で乾かすから」
「湯冷めしますよ」
「風邪を引いたら豊福が面倒看てくれるだろ?」
自己管理も畜生もなってない王子に苦笑いして、「いいっすよ」風邪を引いたらどーぞ俺のせいにして下さい、おどけて肩を竦めた。
うんと頷く薄情なプリンセスは頃合を見計らって俺の膝に寝転がった。
その姿は甘えたな猫だ。
絶対御堂先輩って動物に例えると猫だよな。
何猫だろ。
ロシアンブルーかシャムネコ?
ほのかに湿った髪を梳き、「髪が跳ねますよ」と注意を促す。
どうでもいいとそっぽ向くところが猫なんだよな。
勝手気ままなお猫さまだこと。
分かりきっていた答えに笑声を漏らし、俺は彼女に視線を落とす。
端整な顔つきだな。
見れば見るほど、本当に端整。何処となく純日本人じゃない顔立ちだ。
クオーターだって言われたら納得する美人さん。
それが俺の婚約者。
幸せ者なんだろうな、俺。



