前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



こうして苦手分野と延々向かい合っていると御堂先輩が帰宅した。
 
晩御飯の時間よりちょっと遅めに帰ってきた彼女は学ラン姿のまま、「豊福っ」もうやだ! 僕は演劇部を退部するなんぞ、部屋に入ってくるや否や泣き言を連ねてくる。


ディスプレイから視線を外し、「どうしたんですか?」ヤなことでもあったんっすか? 彼女の発言に驚愕。


猪突猛進で人に抱きついてくる御堂先輩をどうどうと宥めてやると、「またあいつだ」あいつと共演が決まったんだ。死ぬ、僕は死んでしまう! 婚約者が呻いた。


共演?

それってまさか彼女と付属校の、神城先輩がいる……男子演劇部と?
 

「反響が良かったらしいんだ。だからもう一度べつのお芝居でやろうとッ、嫌だ! 僕は男なんて嫌いだし、あいつは特に大嫌いなんだ!」
 

やっと舞台が終わってホッとした直後のこの仕打ち、ヘコみまくったにもほどがある!

愚図る御堂先輩は演劇部なんて退部してやるとブツクサ文句垂れていた。

本心じゃないでしょーに、そんなに嫌だったんっすか? 神城先輩達との共演。


苦笑すると笑い事じゃないと怒られてしまった。

はいはい、ごめんなさいっす。


でも貴方はなんだかんだでやる人だって分かっているっす。

此処で逃げる王子様じゃないでしょーよ。
 

「とにかくご飯にしましょう」


習い事もあったし、お腹ぺこぺこでしょう? 相手の背中を擦って慰める。
 

「俺も食べていないっす。先輩の帰りを待っていました。ほら、着替えて大間に行きましょう?」

「豊福。着替え「させてってのは無理っすよ!」じゃあ行かない」


こ、こ、この我が儘プリンセスは!

いつから聞き分けのない子になったんっすか!
 
ぶう垂れている王子に良い子だから着替えましょうよ、と促す。


が、悪い子だから着替えないとそっぽ向かれた。


まったく、紳士プリンセスも一皮剥けば鈴理先輩と変わらない傍若無人っぷりを発揮するんだからもう。

攻め女って基本的に我が儘だよな。


それに毎度振り回されるのが残念受け男なのである。