前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―


俺達のメインは夕飯だから、こうして能天気に食事ができるわけだけど、財閥二世、三世は未来がかかってるみたいだもんな。メンドクサそう。

最初こそ同情していた俺達だけど、各々美味過ぎる食事に感激してテーブルから料理を取り分けることに熱中していた。

ロース肉、マジで美味い、美味いや。

これ父さん、母さんの土産にしよう。


「あ…、向こうに先輩のご姉妹がいる」

 
テーブルからテーブルに移動していた俺は鈴理先輩の姉妹を見つける。

会場の奥に竹之内家姉妹が肩を並べて、どっかの財閥さん方と談笑していた。

挨拶しに行きたいけど、なんだか挨拶しに行けそうな雰囲気じゃない。

邪魔したら悪そうだ。挨拶できる余裕がありそうなら、挨拶しに行こうかな。
 


ドン―ッ、体に衝撃が走った。



つんのめりになる体をどうにか持ち直して、俺は零れそうになるロース肉を気にする。


ど、どうにか床には零さなかったみたいだ、セーフ! てか誰だよ、俺を押した奴!
 

首を捻ると同時に、「すみません!」ぺこぺこと平謝りされた。

見るからに頼り無さそうな優男さんはズレた眼鏡を掛け直して、「前をちゃんと見てなくて」と微苦笑。

そういうことなら仕方が無いけど…、スーツを身に纏っている優男さんに大丈夫だと綻ぶ。

向こうは安心したように胸を撫で下ろし、「さてと」何処にいるんだろう、周囲をキョロキョロし始めた。



「もう来てると思ったんだけど、えーっと…、あ、いたいた。大雅、たいがーっ、うわっちっ!」



ブンブンと手を振ろうとした優男さんは、足を縺れさせて大転倒。その場にずっこけてしまった。

ちょっと大丈夫かよこの人。
俺はテーブルに皿を置いて、「大丈夫っすか?」手を差し伸べてやる。

何から何まですみません、ぺこぺこ謝るその人の顔立ちは整っていた。


んでもって大雅先輩を呼んだ。


ってことは、まさか、この人。



「やーっと来やがったか。兄貴」 
  


声に反応した大雅先輩がこっちにやって来る。