一方、廊下待機組。
「ギャァアアアア! 先輩ッ、本当に勘弁してくださいィイイイ! イ゛っ、冷たいっすぅうう!」
「あまり大きな声を出すと廊下に丸聞こえだぞ? 皆に声を聞かれたいのかい? ほら、ちゃんと前を見る」
「見れるわけないっす! う゛っ、ど、何処に当ててるんっすか!」
「なあ。今、何秒経った? トロ」
「いつの間にお前までトロ呼ばわりするようになったんや? んーっと、三十秒くらいやな」
「まだ三十秒なんですね」
静寂。
「豊福。見ないともっと恥ずかしいことをしてしまうぞ?」
「い、嫌っす! 絶対見ないっす! っ、ちょ、ナニシャツを捲って」
「相変わらず可愛いヘソをしているな。豊福も前を見て確認してみないか?」
「しないっす!」
「今、一分くらいやな。豊福、ナニされてんねん」
「そりゃナニだろ、あの声からしたら。やっべ、助けてやるべきだったかな」
「何を言うんですか。お嬢様と空さまのお時間は邪魔してはいけないのですよ!」
静寂。
「素直じゃないな。豊福。時間は限られているのに。だったら」
「え゛っ、ちょ、ナニをッ……、む、無理ムリムリ! それだけはっ、ご、ごめんなさいっす! ムードを壊したことは謝りますから!」
「いいんだぞ豊福。僕はもう気にしていない」
「気にしていないならそ、それはッ……、い、ぁ」
「ちょいデガバメしてええかな。受け男ってどんなことされてるのか、見てみたいんやけど」
「やめとけって。空が可哀想だろ? ……そりゃ、ちょっとは気になるけど」
「駄目ですよ、お二人の邪魔をしちゃ!」
「せやかて」
静寂。静寂。携帯を開く。静寂。携帯を閉じる。静寂。
「声、聞こえへんな」
「空。どーしたんだろ? あ、おい、トロ!」
「覗くなんてプライバシーの侵害ですって!」
「ええやんええやん。こないなところでイチャつくあいつ等が悪いや。見られてもしゃーないで……、え゛。なんやあれ」
「ど、どうしたんですか?」
「ナニナニ?」
移動。
「!」「!」「!」
硬直。硬直。硬直。移動。沈黙。
「た、助けてやれば良かった。空、悪い。あそこまでえげつないことをされているなんて思わなかったんだ」
「す。凄いわぁ。オレ、なんかまた新たな世界を見た気分や。さと子ちゃん、頑張ろうな」
「わぁ?! 私は攻め女じゃないですったら!」
たった三分、されど三分。
医務室の向こうは大変ワンダフルでファンシーな世界だったと、後々三人は語っている。まる。



