「彼と三分だけ大事なことをしたいんだ」
御堂先輩の申し出に、逸早く気を回したのはさと子ちゃんだ。
若干頬を紅潮してこくこく頷く彼女は、二人に声を掛けて廊下に出ようと促す。
当然、俺にとっちゃまったくもって余計なお節介である。
「ちょ、ちょっと待って! さ、三人とも廊下に出なくていいから! ホンットこのままじゃ俺ッ!」
「こらこら豊福。折角さと子が気遣ってくれようとしているんだ。無碍にしては申し訳ないだろう? 三分経ったら呼ぶから、三人は一旦廊下に出てくれ」
「んー、そないなこと言われたら出えへんとな」
「トロくん! 殺生なこと言わんといてぇな!」
「空さま。是非お嬢様の情愛を受けて下さいね」
「いやいやいや! 情愛どころかっ、羞恥心と恐怖心を植えつけられるんだって!」
「そーら。若いからっておイタしちゃ駄目だぞ」
「俺のピンチを楽しんでるでしょ! ねえ、イチゴくん、楽しんでるでしょう! そんなきらりん顔であぁああ、皆、出て行かないでー!」
ぎゃぁあああ! 酷いっ、皆、酷いィイイイ!
絶望に近い悲鳴を上げる俺を余所に三人は三分間ごゆっくり、と言葉を残して扉をピシャリと閉めてしまう。
「オトモダチ想いで良かったな」
意味深に笑う王子に対し、千行の汗が流れたのは言うまでもないだろう。
姿見の前に立たされた俺はぎこちなくプリンセスに視線を流すんだけど、その眼は絶対に解放してやらないと物語っていたのだった。まる。



