「僕は今まで普通の小説しか読んだことなくてな。
些かケータイ小説という新たな文学を小ばかにしていた節があるんだ。演劇をしているせいかな?
なんとなく、ケータイ小説は文学に入らないのではないかと先入観があった」
「は、はあ」
「しかしだ。読まず嫌いは駄目だし、読まないのに判断するのも失礼極まりない。何より鈴理がそれを参考に君を攻めていると知っていた。
そのため僕もどんなものかと興味を持って読んだんだ。
なるほど、鈴理がハマるのも納得した。
あいつが参考している点も多々あるんだな、と理解してしまったんだ」
理解しなければいいのに!
「……それで?」
「それで、だ。僕も参考のために買ってみた。ケータイ小説文庫とやらを。
いや、手元に持っておくのも悪くないな、あの本は。
豊福が家庭教師で多忙な時間を過ごしている間、僕も君を満足させようとオトナの勉強をしたんだ」
な、な、なんて無駄で不要なお勉強を!
ががーんとショックを受ける俺を余所に、やってみたいシチュエーションに出会ったのだと某プリンセスが笑顔を作った。
まさかそれが今の氷プレイっすか?
引き攣り笑いを浮かべる俺に対し、ノンノンと彼女は人差し指で弧を描きながら否定。
「あそこに姿見があるだろ?」
御堂先輩が顎で一点の方角をしゃくった。
視線を流すと確かに姿見がある。
身だしなみチェックで使うであろう姿見がある、けど。
「僕の読んだ文庫の中に、鏡を使って相手の羞恥心を煽る行為があったんだ。
敢えて襲われている姿を相手自身に見せ付けるという、なんともまあ精神的にクる行為なんだが。
さて僕の手にはアイスノンがあり、あそこには姿見がある。
―――…豊福。素直になるレッスンをしようか?」
氷+鏡+プレイ?
オーイェーイ最強タッグアルネ!
……、……、じょ、じょ、冗談じゃないっす!
ナニ考えてるんっすか!
姿見を通して俺に自分の教われている姿を見せつけるとかっ、究極の羞恥プレイっす!
ただでさえとんでもねぇ情けない受け男なのに、そったらえげつない行為をされたら日には俺っ、まじでオカマウェイに走りますよ! ガチっすからね、これ!



