前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



落ちるに過剰反応を起こした俺は、一層乗れないと泣き言を漏らしたわけだけど、「落ちない」鈴理先輩が根気よく説得に掛かった。
 
「空は勇気を持って高所から景色を眺める事ができただろう? だから乗れるさ。すぐに着くから」

俺にだけ聞こえる声で、怖いなら手を繋いでおいてやるからと励ましを頂く。
ここまでしてもらったのだから、俺も泣き言ばかりを並べるわけにもいかない。


「頑張るっす」鈴理先輩に小声で呟く。

「そうか」良い子だと褒めてくれる彼女は、待っている皆の下へ俺を連れて行く。


俺は皆に愚図ついた詫びを告げて、再度エレベータとやらに挑戦。


スケルトンの構造に眩暈を覚えつつガタブルでエレベータに乗った俺は、わざわざ景色の見えない四隅に移動させてもらって始終震えていた。

ははっ、情けない。ほんっと情けない。


「な、長いっす…先輩。ま、まだっすか」

「もう少しだ。頑張ろう空」


しかも鈴理先輩にしっかりと手を繋いでもらったもんだから究極に情けなかった。

ご、ごめんなさいっす、ヘタレで。
だけどこれだけはっ、今すぐ直せそうにないっすっ!

実は一部始終の光景を御堂先輩が目撃していたんだけど、残念なことに俺はそのことに気付かずにガタブルブルでエレベータをやり過ごし、どうにか皆で会場があるフロアへと到着。


これまただだっ広い会場とシャンデリア、高そうな絵画が俺達を出迎えてくれた。
 

会場に入れば満目一杯の丸テーブルにホワイツテーブルクロス、その上には様々な料理が並べられている。

どんな料理が並んでいるかというと、あー俺の知識の限り、伝えられそうな料理は生ハムとモッツァレラチーズのサラダに、ロース肉? 唐揚げっぽいヤツ?

あれはなんだ、フルーツの盛り合わせでいいんだろうか?


ダメだ、殆ど伝えられそうなものがない。見たこともない料理ばっか。
 

美味しそうと思う前に、外国人が初めてその文化の料理を目の当たりにしたような衝撃が俺と川島先輩に走っていた。


「わぁおこれヲ食べるンデスカ? ボクタチが食べる? ウソミタイユメミタイ」


という気持ちが占めちまって占めちまって。