前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



さて、財閥交流会の会場は15階にあるらしい。


15階まではエレベータに乗るんだけど、このエレベータが曲者だった。

何故か?
答え、エレベータの中から景色が見られるから。

何度も言うように俺は高所恐怖症。高いところは大の苦手で大嫌いだ。

だからエレベータの構造を見た瞬間悲鳴を上げたね。
なんでわざわざスケルトンにしちゃってるの、このエレベータ! イミフっ、イミフだぁあああ!


俺が我慢して乗れば終わる話だったんだけど、此処で一騒動起きてしまう。


そう、高所恐怖症の俺が駄々を捏ねてしまったんだ。

皆を困らせるとは分かっていたけれど、


「お、おぉお俺…、無理っす。の、乗れないっす」


顔面蒼白する俺は無理だと連呼して、先輩方だけ乗ってくれるよう頼んだ。

自分は階段を使わせてもらうから。
そう訴えてエレベータから逃げたわけなんだけど、鈴理先輩が俺を捕まえて大丈夫だと気を落ち着かせてくる。

ブンブンかぶりを振る俺は、「乗れないっす」無理だとヘタレた。

情けないって分かってるけど、こればっかしはどうしょうもない。


「空。皆で一緒に乗るんだ。ひとりじゃないから大丈夫。な?」
 
「仮にエレベータが停止して落っこちることがあっても、皆、一緒にどぼーんだぜ。怖くねぇって」



おぉおお落ちる、ですとな?
 
サァッと血の気を失う俺を余所に、「大雅!」鈴理先輩は大喝破。飛び膝蹴りをお見舞いしていた。


紙一重に避けながら、「俺は励ましたんだって」彼は両手を上げて無抵抗を示している。気遣いが余計、恐怖心を煽いだっす。大雅先輩。