前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「あんなに攻めてくれたやん、さと子ちゃん! もっと攻めてぇな!」

「誤解も甚だしいです! わ、私は攻めていません! 私は玲お嬢様のような女性にはなれないんです! 攻め女じゃないんです!」

「素っ気無いところも素敵や! けどやっぱ攻めてぇな!」

「来ないで下さいィイイイ!」
 

「……、あの男は随分積極的なんだな」

「あーいえ、どちらかといえばMな意味で積極的だと思われます」


「あのタックル効いたで! ッハ、まさかさと子ちゃんはオレを押し倒したい願望だったとか?! ヤやわぁ、そういうことはもっとはよゆうてーな」

「わぁああん! イチゴさんっ、あの人ヘンタイですっ! どーにかして下さいぃいい!」

「トロ。まずは俺にごめんなさいしろよ! 俺は嘘つきじゃなかっただろ?」

「うぇええんっ! イチゴさんっ、聞いて下さい!」


「……、若干妄想癖が強いみたいっす。彼」

「……、そうか。さと子も大変な男を惚れさせたな」
 
 
そうっすね。

三人の様子に苦笑いを零していると、「ドレス邪魔だな」彼女が自分の服装に不満を漏らした。

男装を趣味にしている彼女にとってスカートは天敵らしい。

早く着替えたいとぼやく彼女は俺をチラ見。

満遍なく俺を見た後、ドレスに視線を戻した。


俺はニッコリと笑顔を作り、彼女がナニかを言う前に告げる。「お断りします」と。


「まだ何も言ってないぞ。豊福!」

「貴方の思考はカーンタンに読めるんっすよ。俺は絶対にドレスなんて着ませんからね」

「僕の姫だろ?」


「ポジションは妥協しましょう、ポジションは。しかし身なりまで女になるつもりはないっすよ!
それに片付けもあるでしょ? まだあそこにファンの方もいらっしゃいますし」


俺は彼女の後ろを一瞥。

ファンのことは敢えて述べないけど(オーラが黒いってことだけは言っておこう)、演劇部の人達は先輩を待っているようにも思える。

舞台の成功を喜ぶ打ち上げもあるだろうし、俺はおいとましようと思っているんだけど。


彼女に旨を伝えると、「もう行くのかい?」御堂先輩がやけに真顔で俺を見つめてきた。面を食らってしまう。


どうしてそんな顔をするのだろう?

明日にはまた彼女の自宅で会えるのに。