「あんなに攻めてくれたやん、さと子ちゃん! もっと攻めてぇな!」
「誤解も甚だしいです! わ、私は攻めていません! 私は玲お嬢様のような女性にはなれないんです! 攻め女じゃないんです!」
「素っ気無いところも素敵や! けどやっぱ攻めてぇな!」
「来ないで下さいィイイイ!」
「……、あの男は随分積極的なんだな」
「あーいえ、どちらかといえばMな意味で積極的だと思われます」
「あのタックル効いたで! ッハ、まさかさと子ちゃんはオレを押し倒したい願望だったとか?! ヤやわぁ、そういうことはもっとはよゆうてーな」
「わぁああん! イチゴさんっ、あの人ヘンタイですっ! どーにかして下さいぃいい!」
「トロ。まずは俺にごめんなさいしろよ! 俺は嘘つきじゃなかっただろ?」
「うぇええんっ! イチゴさんっ、聞いて下さい!」
「……、若干妄想癖が強いみたいっす。彼」
「……、そうか。さと子も大変な男を惚れさせたな」
そうっすね。
三人の様子に苦笑いを零していると、「ドレス邪魔だな」彼女が自分の服装に不満を漏らした。
男装を趣味にしている彼女にとってスカートは天敵らしい。
早く着替えたいとぼやく彼女は俺をチラ見。
満遍なく俺を見た後、ドレスに視線を戻した。
俺はニッコリと笑顔を作り、彼女がナニかを言う前に告げる。「お断りします」と。
「まだ何も言ってないぞ。豊福!」
「貴方の思考はカーンタンに読めるんっすよ。俺は絶対にドレスなんて着ませんからね」
「僕の姫だろ?」
「ポジションは妥協しましょう、ポジションは。しかし身なりまで女になるつもりはないっすよ!
それに片付けもあるでしょ? まだあそこにファンの方もいらっしゃいますし」
俺は彼女の後ろを一瞥。
ファンのことは敢えて述べないけど(オーラが黒いってことだけは言っておこう)、演劇部の人達は先輩を待っているようにも思える。
舞台の成功を喜ぶ打ち上げもあるだろうし、俺はおいとましようと思っているんだけど。
彼女に旨を伝えると、「もう行くのかい?」御堂先輩がやけに真顔で俺を見つめてきた。面を食らってしまう。
どうしてそんな顔をするのだろう?
明日にはまた彼女の自宅で会えるのに。



