前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



(今日初めて会った人に受け身に慣れてるんじゃないか? なんて、そんな、そんなことってぇええ!)
 


がーんっとショックを受ける俺は、「やっぱりモロッコか」女になるしかないか、娘になるしかないよなぁっ、ずーんと落ち込んで頭上に雨雲を作る。

そうか、そんなに俺は受け男として出来上がっているのか。

草食系男子の地位さえ危うい受け身男になっちまってるのか。


ははっ、男としての自尊心もなにもねぇやい畜生。

女になっちまおうかなぁ、いっそのことオカマになって夜の商売…っ、俺、どうしておにゃのこに生まれてこなかったんだろう。


はぁあああ。
立派に男してた筈だったのに、何をどうしたら、道を踏み外してっ…、全部鈴理先輩のせいっす~~~ッ!
 

人のせいにして心中で涙を呑んでいると、「ははっ」御堂先輩に笑われた。

うわ…、き、傷付く…、人がショックで落ち込んでいるところに追い撃ちをかけないで下さいよ。


そりゃあ男らしくなかったかもしれませんけど。
 

恨めしく相手を見やると、びっくり仰天。

彼女は嘲笑ではなく普通に笑声を漏らしていた。


てっきり馬鹿にされたかと思っていたんだけど。笑うとこれまたカッコイイんっすね、御堂先輩。
 

「顔が百面相になっているぞ。君は短い間に色んな表情を見せるんだな。
初対面から説教したり、赤面したり、落ち込んだり。豊福を見ていると君が男、ということを忘れてしまいそうだな」


「え、ああ…、そうっすか?
……って、なんかスンゲェ複雑なんですけど。俺は残念でも男っす」


「分かってる。だが君は男という感じがしない。きっと君が主婦のようなことを言ったからだろうな。君は女を賞賛したしな」
 

ウィンクしてくる御堂先輩は颯爽と歩みを再開した。

男のような感じがしない。なーんて言われた俺は複雑な気持ちを抱えながら、彼女の後を追う。やっぱり俺、モロッコに行くべきなのだろうか?

まあ、怒られなかったからよしとしよう。