聡明な王女は主人公が革命を起こす中心人物になるのだと悟っていた。
革命によって生まれる希望と絶望。
一つの国の終焉と創始。
主人公の信じる道はひとりの女性を幸にし、ひとりの女性を不幸としていく。
何かを犠牲にしなければ、幸せになれない。
それに苦悩し、悼み、哀れむ主人公の半生を通じて描かれる舞台に俺は食い入ってしまった。
それはすっごい本格的な舞台だった。
王女役の御堂先輩の女性口調に違和感もなく、寧ろ彼女の立ち振る舞い。国を愛し哀れみ一喜一憂する姿に魅入ってしまう。
俺の知らない御堂先輩が舞台の上にいた。
どんだけ練習していたのか、知っていたつもりではいたけど彼女の演技を見る限り、俺の知らないところで並々ならぬ練習を積んできたに違いない。
カツラであろう金髪も似合っているし、学生部が使うにしては高価すぎるドレスを身に纏ってその役になりきっている。
大嫌いな男の人に横抱きされても彼女は喜びの笑みを浮かべていた。口説かれて恥らったりする姿は本物だったんだ。
きっと舞台の上にいる御堂先輩は彼女自身ではなく“シルヴェール王女”として立っているのだろう。
(本当に好きなんだな、お芝居)
結局王女は革命の末に処刑されてしまう。
のち、王女は主人公に好意を寄せていたのだと日記によって判明。
主人公に何も言わず、予知していた革命を拒むこともなく、ただただ運命を受け入れた王女に涙する主人公がそこにはいた。
ひとりの女性を幸にし、ひとりの女性を不幸としていく主人公の姿に皮肉さえ覚えてしまう。
かーなりディープで重たい内容だったし、はっきりとしたハッピーエンドとも言えなかったけど、舞台は凄く面白かった。
二時間半ほどの長い舞台が終わると観客席から拍手喝采。
体育館の屋根を突き破る拍手が沸き立つ。俺も拍手を送った。
舞台を終え、晴れ晴れとした表情で挨拶をする彼女に対して惜しみない拍手を送った。
見たこともない彼女の一面を知ることができた喜びを込めて、何度も手の平を叩いたんだ。



