やがてそんな主人公にも転機が訪れる。
恋の訪れだ。
彼は、とある低級貴族の娘に一目ぼれした。
彼女に恋した主人公は振り向いてもらおうと、少しずつ接触する。
同時期、彼女の両親が他の貴族の手により、汚名を被り、冤罪という罪で処刑されてしまう。
彼等の住む国は絶対王政だった。
王に逆らった罪をかぶせられ、彼女の両親は見せしめに公開処刑される。
泣き崩れる彼女を目にした主人公は、これを機に心情に変化をもたらす。
絶対王政に反感の意を見せたのだ。
表向きは素晴らしい政治をしていても、一皮剥けば王族の暮らしを豊かにするだけの偏った政治が目立った。彼の中に怒りが芽生え始めていた。
しかし主人公には気掛かりがあった。
彼はその国の王女と幼馴染であり、親しい友人だったのだ―――…。
「ケネル。顔色が優れないようですけれど、具合でも悪いのでしょうか?」
「いや、大丈夫だよ。シルヴェール。いつものように二日酔いなだけさ」
湖畔に佇む主人公と王女。
主人公がこげ茶の短髪に対し、王女は見事なロングの金髪を持っていた。
約束を取り付けて馬でそこまで来た二人は昔のように湖を眺める。
憂慮を向ける王女に主人公は大袈裟に肩を竦めておどけた。
王女にはすぐそれが嘘だと悟ってしまう。けれど何も言わない。
目を伏せ、「此処はいつ来ても美しいですね」王女は柔和に綻ぶ。
「そうだな」
相槌を打つ主人公と彼女の間には確かな溝があった。
光景は昔と変わりないけれど、二人の関係は変化している。
否、主人公が国に対しての見方を変えたのだ。そして王女に対しても。
「シルヴェール。君も湖畔と同じように美しくなったな」
おだてる主人公の心情を悟り、王女は微苦笑。彼を見て王女は目尻を下げた。
「ケネル。わたくしはあと数年も生きられないでしょうね」
「な、何を言うんだい。シルヴェール。君は一国の王女だ。体でも悪くない限り、長生きできるさ。知的な君らしくない発言だぞ」
「そうですね。わたくしらしくないですね。しかし思うのです。数年も生きられない、と。ケネル、わたくしはきっと国と共に心中する運命なのです。それが王族に生まれた者の運命(さだめ)。
―――…ケネル、貴方は自分の信じる道を生きるのですよ」



