前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



だから本当のことなんだって。

苦笑いを零していると、さと子ちゃんがお体の方は大丈夫ですかと声を掛けてくる。
 
 
「偏頭痛が出たら、どうぞ言って下さいね。お薬を持ってきましたから。
それから口寂しい時の飴とチョコレート。お飲み物はお水をご用意していますよ。

蘭子さんのお薦めで、飴は京都老舗の指折りで売られているものを。チョコレートはベルギー産の高級チョコをご用意しておりますので。

あ、勿論お水は熊本産の天然水です」


「あ、ありがとうさと子ちゃん。準備がいいね」

「空さまの御身は私がお預かりしています。どうぞご遠慮なくお申し付け下さいね」


寧ろ俺の方が気遣います、それ。

引き攣り笑いを浮かべる俺に対し、「あれ?」友達じゃなかったのかとイチゴくんが目をぱちくりしてこっちを見てきた。

「さと子ちゃんは御堂家に住み込みで働いている子なんだ」

俺の身の回りのお世話を一生懸命にこなしてくれる子なのだと教える。

「住み込みやて?」瞠目するトロくんに対して、「なーるへそ」イチゴくんが指を鳴らした。


「さっきから空を様付けにしているから気になっていたんだ。
へえ、住み込みか。んじゃあ御堂家のメイドさんになるのか? 友達兼主従関係だな。さっき空を守ろう? としていた行動にも納得いくし」


「空さまは時期御堂財閥の若旦那さまになられるお方ですから、お守りするのは当然なんです」


あれ、さと子ちゃん。

守ると言ってくれているけど、今、君はポクを盾にしていない? しているよね? トロくんから逃れるために!


「玲お嬢様も、空さまも、なにかと狙われやすい身の上です。私達召使は口酸っぱくお二人の身を守るよう命じられているんですよ。
お二人が家内にいる時も、かなり気を付けているんです」


「え、そうなの? 初耳なんだけど、さと子ちゃん」

「はい。空さまも、もう少し警戒心をお持ち下さいね。客観的に見ても、貴方様の立場は私利私欲を抱く輩からしてみれば美味しいですので」
 

う゛っ、確かに言われてみればそうかもしれない。

そんなこと、ろくすっぽうも考えたことなかったな。

先輩に見合うだけの婚約者になろうと勉強ばかりに目を向けていたけど、身分もちゃんと理解しておかないといけないんだな。

仮に俺が身代金目的で攫われたら、なにより御堂家の皆さんに迷惑がかかる。


もう二度と誘拐されたくないけど、立場は弁えておかないといけないようだ。

財閥の婚約者って俺が思っている以上に立場が重いんだな。
 

「気を付けます」返事する俺にさと子ちゃんは一笑し、「安心して下さいね」何かあれば私たちがお守りしますから、と胸を叩いた。