したがって自分が成敗するのだと意気込みを見せた。
なんてこったい。
さと子ちゃん、なんちゃって俺のために身を挺して守ってくれようとしてくれているなんて!
……感動どころか不安と申し訳なさだらけだよ!
ちょ、おりなさい、さと子ちゃん!
所沢くんから早くおりなさいイィイイイ?!
さと子ちゃんが手提げ鞄を構えて攻撃体勢になった?!
こらこらこら、さと子ちゃん!
暴力は反対だから! 暴力は何も生まないから!
手提げ鞄を翳すさと子ちゃんを必死に止めていると、「めっちゃ効いたわ」目を閉じていた所沢くんがゆっくり瞼を持ち上げた。
「あ。生き返った」
イチゴくんが間の抜けた声を上げる中、俺はごめんなさいと謝り倒してさと子ちゃんに早く退くよう指示する。
ブンブン頭を横に振るさと子ちゃんは、自分が御堂財閥の時期若旦那さまを守るのだと声音を張った。
責任感だけは人一番強いさと子ちゃんだから、蘭子さんの言いつけを忠実に守ろうとしてくれているんだけど、所沢くんだって悪気があって言ったわけじゃ「刺激あるアタックや」
……はい?
「これが女の子からのアタックなんか。なんて刺激的なアタックなんや。甘酸っぱいどころやないで。弾ける青春がそこには宿っとった」
ど、どうしよう。
所沢くんがワケ分からないことを口走り始めたんだけど。
きっと後頭部を強打したせいだ。
びょ、病院に連れていくべきかもしれない。
焦り始める俺の一方で、「アタック。しかと受け止めたで」所沢くんがゆっくり上体を起こすと腹に乗っているさと子ちゃんの右手を両手で掴んだ。
まったくもって予想外な展開にさと子ちゃんがオドオドし始める。
そんな彼女に所沢くんがこうのたまった。
「オレ、惚れたわ! 君のタックル、めっちゃ痺れるアタックやったで! 名前なんっつーねん? もっとアタック、いやタックルしてくれや!」
「え゛っ。わ、私は」
引いてるー!
さと子ちゃん、ドン引きやでー!
ついでに俺もドン引きー!
なんかM族親衛隊とシンクロするし!
大変な展開を招いてしまったさと子ちゃんはあたふたと手を振り払って彼の腹からおりると、
「空さまぁあ! あの人は変態でした!」
うわぁあんと俺に縋ってくる。
とんでも展開にゲンナリしつつ、よしよしと俺は彼女の頭を撫でた。
さと子ちゃんが招いた出来事とはいえよしよし、怖かったね。
変態さんには慣れてないんだね、よしよし、怖かったね。
「なんで逃げるんや!」所沢くんの嘆きに、「来ないで下さい!」さと子ちゃんが持っている手提げ鞄を振って対抗。
頑張って俺と所沢くんの距離を置こうとはしているけど、今、一番危ないのはさと子ちゃんだろう。



