前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「確か財閥の時期婿養子で婚約者がいるっちゅう…、それお前の作り話やろ?
皆、信じてなかったやん。今の時代に婚約者がいる高校生なんてドラマしか聞いたことあらへん。

そいつ、何処をどー見ても庶民の凡人さんやんけ。
花畑、見栄張るだけ自分が苦しゅうなるだけやぞ」

 
「俺は嘘なんて言ってないぞ!」イチゴくんが闘争心むき出しで食い下がった。

嘘つき呼ばわりされたことが心外らしい。


だけどまーったく信じていない所沢くんはそれよりカワユイ女の子はおらへんか? はよ口説いて一緒に舞台を見たいんやけど。その後はカラオケ合コンや! なんぞとほざいていた。


怒りのボルテージがグングン上がっているイチゴくんは「もし本当ならお前。俺に何でもしてくれるか?」とドスのきいた声でクエッション。


「へえ面白。まだ見栄を張るんかいな?」


だったらもし嘘ならお前、オレに何でもしてくれるかぁ? と所沢くんがシニカルに笑った。


ちょ、あんた達、仲の良いクラスメートじゃないっすか?

なーんで挑発ムードに。

青い火花を散らす二人に視線を配っていると、所沢くんが俺に視線を流した。

「お前。本当に財閥の婚約者なんか?」

とばっちりのように質問されたから、イエスと答える。

嘘は言わないよ嘘は。
事情付きの財閥の婚約者だけど。


疑心暗鬼になっている所沢くんは、なら証拠を見せて欲しいと詰め寄ってくる。


「婚約者なら一般常識をはね退けるようなことができる筈や! さあ、やってみぃ!」

「えぇえっ? そんなこと言われても」


何をしろって言うんだい?
俺にこの場でハトでも出せと?

マジシャンか!


「ほら無理やないかい! 大体この貧相な奴が財閥の婚約者なんて嘘にっ…、ドワッ?!」

 
俺の前から所沢くんが消えた。

彼はタックルをかまされ、後頭部を強打して撃沈。目を回している。

「ゲッ」俺は悲鳴を上げた。

彼の腹に乗っているのは俺の連れじゃあーりませんか!

な、何しているのさと子ちゃん!

急いでさと子ちゃんに下りるよう告げるけど、両手握り拳を作ってさと子ちゃんは鼻息を荒くした。

側らではイチゴくんがしゃがんで生きてるか? と声を掛けている。


「空さまは離れていて下さい! この人は不遜な輩です! 空さまに対してご無礼な口の数…っ、それ以前に不謹慎な行動が目に余ります。

私は空さまの御身を預かっている身の上。
このような輩を近付かせるわけにはいきません! 空さまは御堂財閥の時期若旦那さま。貴方様の侮辱は御堂家の侮辱なのです!」