「でもこんな悩みでも楽しいものですね。
これなら、もう三人くらい子供が欲しいものです。子が増えると悩みも増え、老ける勢いも増しそうですけど、とても楽しそうです。
娘ができたら是非パパと呼んでもらいたいものですよ」
「ははっ、娘ばかりだと父親の肩身も狭いですよ。男ではついていけない話題も沢山で」
「親父の辛いところですね。思春期に入ると特にそうでしょう? ストレスも溜まりそうです。ですが竹之内さんなら大丈夫ですよ。
あんなに素敵なお子さんがいらっしゃるのですから。
まあ、悩みがあれば親父同士で話すのがいちば「豊福さん。飲みに行きましょうか」……え?」
そうだ、親父だってストレスは溜まるもの。
渡る世間は鬼ばかりというフレーズがあるように、取引先も鬼ばかり。
仕事のストレスを多々抱えている今日に起こっている、この事件。
親父は過酷な社会で今日も頑張っているんです。
でも評価されないんです、虚しいことに。
それどころか娘達に反発され、三女とは口をきいてもらえな……親父だって人間。ストレスは溜まるんです。
「迎えを寄こしますんで」
スマホを取り出し、クイック機能を使ってメールを送信。
仕事が未だ残っていると返事が来たが知ったこっちゃない。問答無用で迎えを寄こすよう秘書に命令する。
「あの」戸惑う裕作に、「私が持ちます」安心して下さい、と英也は満面の笑みを浮かべた。勿論そういうことではない。
「家内にもいえない親父の辛さ、ありますよね。豊福さんはよく分かってらっしゃる」
「は、はあ……」
「何故仕事をしている親父は評価されないのでしょうかね。不服で、不満で、理不尽です。親父は娘の敵として立たざるを得ない存在なのでしょうか?
……おや? このパンフレット、さっき豊福さんが見ていた…法律事務所?」
「え、ああ。ちょっと弁護士を探していまして。ただこういうのってよく分からな「分かりました。それも飲みながら話しましょう」あ、あー…ありがとうございます」
相手に有無言わせず、何もかもを強引に決めてしまう英也の性格を空が見たらきっとこういうに違いない。
鈴理先輩の強引さはお父さん譲りなんじゃないか? と。



