前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「鈴理、君は一体何をしているんだ? そんなにも後輩の腰を触って」



!!!
 

ば…、ば、ばれた。フツーにばれた。

てか、彼女の悪戯が当たり前のように見えてるという…、うわあぁああああ最悪っすっ、どうしてくれるんっすかっ、鈴理先輩!
 
わなわなと震える赤面の俺に対し、鈴理先輩は冷静沈着。

手を戻して、腕を組むと意気揚々口を開いてこうのたまった。
 

「空は女にセクハラされたいと願望を持つ変わった性癖の持ち主なのだ。後輩思いのあたしは気遣って腰をお触りお触りと」


「なに、冷静に阿呆なこと言ってるんっすかぁあああ! 俺がいつどこでどうやって地球が何回回った日にンな阿呆を言いました?!
まるで俺がMみたいな口振りっすけどMじゃないっす! いたいけなNボーイっす! そうやって後輩イジメするのも大概にして下さいっす!

このドエス! 先輩のドエス! ドエスのへんt…ゴッホン! ……なんでもないっす」


やっべっ、危うく先輩のS心に火を点けるところだった。

咳払いをして誤魔化す俺だったけど、「ほぉ」ドエスの変態と言おうとしたか? なあ? 相手にはしっかり言葉が届いていたらしい。これは不味い。非常に不味い。

この場を乗り切っても、後から絶対に仕置きが来る。


取り敢えず御堂先輩に関係をばれるわけにはいかないので、「と。貴方の彼氏様が言ってました」苦し紛れに笑ってみせた。


「だからちょーっち俺もマネしてみちゃったり…、駄目っすよ、こういうことは彼氏様にしないと」
  
「なるほど。あいつがそんなケッタイなことを。じゃあ、後で仕置きしないとなぁ。非常に恥ずかしく、あらやだなぁな仕置きを…なあ?」