前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



実は隠しカメラの件はさと子の内部告発により、取り付けたものだった。

さと子は偶然にも見てしまったのだ。過激ロッテンマイヤーのやる教育を。

口調や立ち振る舞いで随分、叱られているなぁっとは思っていたのだが、指し棒の件はやり過ぎだと思った。

何処の時代のスパルタ教育だろうと思うほどに。

それどころか叱られている内容に理不尽な点も混じっていた。彼は庶民出身からか、ロッテンマイヤーに嫉妬されていたのである。


さと子は聞いてしまった。

庶民出身のクセに自分よりも地位の高い場所に立てるなんて、と。

生い立ちを知っているからこその嫉妬だったらしく、振る舞いが過剰で過激になっていたようだ。

財閥出身ではないにしろ、それなりに良いところのお嬢様だったため、お高めな自尊心があったのだろう。


蘭子曰く時折あるらしいのだ、身分のことでとやかくいう輩が。

このご時勢になってもそれは変わらない。

小泉ロッテンマイヤーは庶民出身の彼に教育を施すことが悔しかったのだろう。


「酷いですよね」


眉を下げるさと子に、「嫉妬は何処にでもあるものさ」玲は肩を竦めた。
 

「例えば、さと子で言えば劇団。出身や演技力、配役や容姿で嫉妬を買うものだろ?」


親が舞台俳優となれば、幼い頃からレッスンを受けていることが高く既に実力の差がひらいてしまう。

配役だって、狙っている役柄が取れず、誰かにそれを取られてしまえば嫉視されることもあるだろう。

僕だってよくある。

実力のある先輩を差し置いて良い役をもらったら、向こうから素っ気無い態度を取られることもあるし、逆に同年代に良い役が回ったらムッとする。


同じように豊福も嫉視されたのさ。

庶民出身のくせに財閥の婿養子になる、それが向こうからしてみれば小癪なガキに思えたのかもしれないな。


身分の無い世の中というが、そんなことはない。

現代社会だって職柄や年収等々によって見えない身分を作っている。

身分は今も昔も存在している。
ただ目に見え難くなっただけであって。
 

「小泉先生の気持ちは分からないでもない。
だが僕は豊福に好意を寄せている。当然、反感の念、憤り、失望を抱くものさ。まったく、僕の知らないところでSMプレイをされていたなんて」

「え、エスエムプレイ……ですか」


「豊福は可愛いからな。
甚振りたい気持ちがあってもおかしくない。甚振ることを通じて快楽を得ようとしたのかもしれないが、僕はそんなこと、ゼッタイに許さない。

ああ許してなるものか。
僕がするならまだしも、他の女にさせるなんて言語道断だ」