「ねえねえ鈴ちゃん。鈴ちゃんは空ちゃんのどういうところが好きになったの?」
夕飯時の会話も弾むようになった。
普段ならば姉妹の会話に相槌を打つ程度なのだが、ここ暫くは姉妹達と談笑することが多い。
鈴理は瑠璃の質問に、「努力を惜しまないところだ」と答える。理不尽な環境でも努力で乗り越えようとする直向な心が大好きなのだと意気揚々に笑った。
少しケチ…、じゃない、節約心が残念な気持ちにさせてくれるがそれも彼のチャームポイントだと思えるほど好いている。
早く食べてしまいたい奴なのだと雄々しい発言を添えて妹に言い放った。
「鈴ちゃん肉食だねぇ」
能天気に笑う瑠璃は自分も素敵な恋がしたいなぁっと夢見る顔を作る。
まだ恋という恋をしたことがない、姉のような燃える恋をしてみたいと瑠璃は恍惚に宙を見つめる。
「ほんとよねぇ。私の恋なんて最悪だった」
なんたって男が三股していたのだから、咲子が自分の体験談を暴露。
もっとイイ恋がしたかったと鼻を鳴らして苛立たしげにグラスの水を食道に通した。
「恋をするなら肉食の男性が良いですわ」
これまた夢見の顔を作る真衣が、俺様のモノになれと言われてみたい。何処かにきっとそんな男性がいる筈だとすっかり乙女モードに入っていた。
嗚呼、こうして四姉妹で恋愛の話を気兼ねなくできる。
忘れかけていた気持ちを擽られ、鈴理は姉妹達の傍がとても心地良いと感じていた。
昔もこうして彼女達と談笑していたっけ。
絶えることのない笑声を暖かなBGMとして聞き流していた鈴理は思うのだ。
それまで自分は評価という環境の檻に囚われていたが、勇気を出せば簡単に環境など変えられるのだと。
確かな変化を姉妹を通して見出すことができたためか、鈴理は環境の打破に対する気持ちが一層強まる。
このままでは終わらない終わらせない終わるつもりはない。自分は限界まで挑戦してやる、と。
その日も鈴理は企業分析に没頭していた。
場所は学校なのだが、時間が無いためそこに着眼点を当てる余裕はない。
空き時間中は企業分析に当てなければ、本当に時間がないのだ。
三ヶ月と自分で決め付けているため、なにがなんでも三ヶ月で終わらなさないといけない。
今日の昼休みも大雅の教室、もしくは自分の教室で分析を進めていかなければ。
そう気張っていると、事情を知っている早苗が少しは息抜きも必要だと助言してきた。



