両親が納得しないなら、納得させるだけの行動を起こす。
口頭で言っても理解を示してくれない両親に焦れていた二人に、二階堂楓が助言と救済の手を差し伸べてくれたため、鈴理と大雅のやるべきことは決まった。
楓の話によると、二階堂家と竹之内家が各々提携している企業が他の財閥に狙われている傾向があるというのこと。
水面上に出ているわけではないが、提携している企業の複数の売上が下降していると指摘した。
それを証明するための企業の財務諸表分析と、提携している企業の経営診断をするべきだと楓は教えてくれる。
「仮に企業の売上が落ちているとしたら、企業の経営戦略を見つめなおす必要性がある。
これは専門の診断士がやることだから、幾ら財閥の僕等が口を出しても向こうは聞いてくれないだろう」
だけど財務諸表分析は資格がなくともできる。
ああ、ちなみに財務諸表は企業の成績表とでも思ってくれればいいよ。
経営戦略ってのは、あー、学生でいう勉強のやり方とでも思ってくれたらいいんじゃないかな。難しいことを言ってもワケわかんないし。
とにかく成績、つまり売上が落ちてしまったら当然財閥に損害が及ぶ。
先を読んで親を唸らせるデータ分析をすれば、もっと言えば他の財閥に提携している企業が食われないよう未然に防げば君達の実力も認められると思う。
ただし二財閥を合わせた提携先の企業の数は膨大だ。
これを纏めるには相当の時間を費やすことを忘れないで欲しい。
「このデータを分析すりゃ、共食いってヤツは未然に防げるのか?」
大雅の質問に楓が頷く。
「先手を読んで行動するということは、企業の弱点を早期発見するということ。
並びに共食いを仕掛けようとしている相手方の先を読むということなんだ。
向こうの動きを読んでおけば、こっちだって対策が打てるだろう?
だからこそデータの分析は重要なんだ。大丈夫、僕も手伝うから。それから鈴理ちゃんのお姉さんにも」
「え?」瞠目する鈴理に、実はこっそりと上二人の姉に交渉を持ちかけたのだと楓はウィンクする。
三人じゃ一年は掛かってしまうから。
それに実力を見せるとはいえ、手助けなしに親を唸らせるのは至難の業だ。高校生の二人はやはり未熟なのだから。



