前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



暴力ではなく財閥流の礼儀で相手を伸した兄は、自分達にもう大丈夫だと優しく微笑んでくれた。

嗚呼、敵わないなと思った瞬間。いつもドジばかり踏んで周囲を呆れさせている電波な兄、けれど誰よりも実力のある男なのだと悟った。


兄はいつも自分達を守る。味方になる。支えとなる。


今回もそう、両親の期待より、自分を優先の気持ちをしてくれた。ほんとに兄には敵わない。


「ムカつくな。普段は電波なくせに、ここぞって時に男になるんだからな。そんな男を俺も支えたいって思うじゃねえか。許婚共々さ」

「……大雅」



「言っとくがこれは俺が決めていることだぜ? 百合子と兄貴の仲は俺が取り持つ。あいつ等の仲を裂くような輩がいたら、ぜってぇぶっ飛ばす。
てめぇは自分で決めて豊福を迎えに行くんだろ? 取り返すんだろ? グーズグズしてっと玲に心まで奪われるぜ。

まだ豊福はテメェのことを好きなんだしさ」

 
お前は豊福の騎士になりたいんだろ?

大雅が鈴理に問い掛けると、柔和に綻んで首肯した。


「なら頑張ろうぜ」


俺もてめぇを奥さんに持つなんてごめんだしな、そう言って齧りかけのりんごに目を向けていた。