暴力ではなく財閥流の礼儀で相手を伸した兄は、自分達にもう大丈夫だと優しく微笑んでくれた。
嗚呼、敵わないなと思った瞬間。いつもドジばかり踏んで周囲を呆れさせている電波な兄、けれど誰よりも実力のある男なのだと悟った。
兄はいつも自分達を守る。味方になる。支えとなる。
今回もそう、両親の期待より、自分を優先の気持ちをしてくれた。ほんとに兄には敵わない。
「ムカつくな。普段は電波なくせに、ここぞって時に男になるんだからな。そんな男を俺も支えたいって思うじゃねえか。許婚共々さ」
「……大雅」
「言っとくがこれは俺が決めていることだぜ? 百合子と兄貴の仲は俺が取り持つ。あいつ等の仲を裂くような輩がいたら、ぜってぇぶっ飛ばす。
てめぇは自分で決めて豊福を迎えに行くんだろ? 取り返すんだろ? グーズグズしてっと玲に心まで奪われるぜ。
まだ豊福はテメェのことを好きなんだしさ」
お前は豊福の騎士になりたいんだろ?
大雅が鈴理に問い掛けると、柔和に綻んで首肯した。
「なら頑張ろうぜ」
俺もてめぇを奥さんに持つなんてごめんだしな、そう言って齧りかけのりんごに目を向けていた。



