高校生でやれるか、なんて不安は無用で不要だよ。やるしかないって分かっているだろうからね。
にっこり微笑む楓は一変して、「親も鈍感でさ」自分達財閥が狙われているってことに気付いていないんだよね、と頭部を掻く。
なんで気付かないんだろう。
僕でも気付くのに、うんぬん唸る楓はまったくおかげで長男が動かないといけないじゃないか。
そう言ってりんごをかぶり。
「ゲッ。汁がシャツに落ちた」
お皿を持って来るべきだね、困った困ったとりんごを持ったまま楓が部屋を出て行く。
りんごくらいカゴに置いていけば良いんじゃないかと思うのだが。
自分ペースに話を進める楓を呆けながら見つめていた鈴理は、息を吹き返して笑声を漏らす。
「あの人は目ざといな」
本当は実力者なんじゃないか、そう指摘すると大雅が癪だがそう思っているとぶっきら棒に返した。
「兄貴は実力あるんだよ。ただ優しいからな。利害に渦巻いている財閥界は肌に合わないみてぇだ。
けど、兄貴は隠れた実力者だ。ドジ踏みながらも俺達を守ってくれる。
昔からそうだ。俺と百合子が他の財閥の令息令嬢から過度に虐げられていた時、誰よりも早く俺達の下に駆けつけて守ってくれた」
今でも思い出す。
駆けつけてくれた時の兄の言葉を。
いつもは舐められてばっかな優しい表情を崩し、鬼のような形相でこう言い放ったのだ。
『公の場で二階堂家と宇津木家を虐げるとは良い度胸をしているね。そうやって君達は自ら財閥の滅亡に足を踏み入れているんだ。
―――…大事な弟と許婚にこれ以上手を出してみろ。将来、僕は君達の財閥を滅ぼす。必ずっ、何年かかっても必ず!』
見栄を張った台詞だと思った。
けれど兄の眼は本気も本気だった。
その後、行われたチャイルド会合と呼ばれる財閥の令息令嬢がつどった集会では兄が虐げた財閥達の短所を挙げ、具体的な数値。グラフ。情報を出して意見した。
この財閥と関わっても損害が出る一方だと言わんばかりの負の意見に、何も知らない令息令嬢はそれを鵜呑み。
将来この財閥と関わるべきではないのかもしれないと考える素振りを見せた。
向こうの青褪めた顔を今でも大雅は鮮明に憶えている。



