前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



分かるね?

両親の指示を仰ぐばかりじゃ時間が経つばかりさ。

相手は目先の財閥強化に心奪われている両親達。

口頭じゃ話は平行線のままだ。


財閥のために、そう思うなら相手の指示を待つんじゃない。

自分達が考えて行動を起こさないと話にならない。


これからのビジネス界に必要な人材もこれに匹敵する。

指示を待つだの仰ぐだの人材はいらないんだよ。

なにより即戦力になる人材を社会は欲している。


君達もその人材にならないと。


実力を見せ付ければ親達は何も言わなくなるさ。

あの頑固者たちは実力行使で君達を婚約させた。

なら、此方も実力行使で破談するまで。


目には目を、歯には歯を。

そういう手を娘息子に使われても向こうは文句が言えないだろうね。

先に仕掛けたのは親なんだから。


親達が躍起になって財閥の繋がりを強化する理由は財閥の“共食い”にもある。

最近目立ってきているんだよね。財閥が財閥を食べて上にのしあがろうとする家が。

二階堂家が提携している企業にM&Aをしたのも財閥の“共食い”を未然に防ぐため。

そして竹之内家との繋がりを強化しようとしているのも以下同文。


子供の将来より、財閥の存続に親達は願いをこめているのさ。


財閥よ、栄光あれ……といったところかな。
 

「僕は君達の手を借りたい。不穏なことに、また何処かの財閥が“共食い”を嗾(けしか)けているようなんだ。
これを止めれば君達の実力は嫌でも認められる。どう? やってみない?」


窓辺に立ってりんごにかじりついていた楓が顧みて一笑してくる。

「兄貴…俺達の味方になってくれるのか」

腰を浮かして立ち上がる大雅に目尻を下げると、

「僕はね弟や妹が可愛いんだ」

君達が困っていたらどうしても手を差し伸べたくなるお節介な性分なのだと肩を竦める。


「大雅、鈴理ちゃん、好きにやってみたらいいんだ。
財閥の古臭いしがらみなんて取っ払えばいい。

これから財閥を先導するのは僕達世代なんだから。今の生き方が嫌なら実力で示せばいい。財閥の古臭い考えで傷付く必要はない。

何処まで親の説得に繋がるか分からないけど、やる気があるなら僕の部屋においで。僕は君達の実力を信じるから」