「しかしこれは偶然だろうか」
鈴理も不信感を抱き、疑念を口にする。
分からんと大雅は肩を竦め、とにもかくにも親父達を説得しないことには進まない話だとベッドに身を沈めた。
人様の借金問題よりも自分達の将来問題を片付けれる方が優先だ。
尤もなことを意見すると、鈴理が重々しく溜息をつき足を組みなおした。
「まったくだな。早いところ問題を解決しないと、あたしの欲が爆ぜそうだ。きっと今頃、空は玲に押し倒されたり。舐められたり。喘がされたり。
っ、切ない。とてつもなく切ない。自業自得と分かっていても。
あたしも空を押し倒したい鳴かせたい焦らしたい喘がせたいぎゅーっとしたい」
「(おいおい。本当に豊福のこと好きだったのか? つくづく受け男乙だな)」
「だがしかし! 玲、空を甘く見るんじゃないぞ。空はな、スチューデントセックスを断固拒否している男なのだ。
簡単には食えないぞ! 食えないんだぞ!
あいつとシようとすると何故か邪魔が入るんだからな! あいつはエスケープの天才だ!
……嗚呼。でも攻めたい。空を攻めたい。できないもどかしさっ…、大雅」
「お・こ・と・わ・りだ。余所を当たれ。俺は受け男にゃなれん」
寝返りを打って背を向ける大雅に、「少し!」縛らせてくれるだけでいいから! ディープキスとか、女装とか、薬とかアブノーマルは求めないから! と鈴理が交渉を迫ってくる。
勿論大雅の答えはNOの一点張りだ。
ナニが悲しくて女に縛られにゃならん。
言うや否や、その場から飛び退いて甘いと一笑。
大雅が顧みると鈴理がリボンを持ってベッドの上に弾んでいた。
チッ、舌打ちを鳴らす鈴理はしくったと顔を顰める。
「大雅! ケチはいかんぞ! 空のケチは可愛いがあんたのケチはむかつく!」
「そーかそーか。そりゃ良かったな。俺はケチだから縛られてやんねぇよ。けど、そうだな。俺は優しいから言葉なら掛けてやってもいいぞ」
「ほお。あたしを悶えさせてくれるような台詞でもくれると?」
任せろ、頷く大雅はにやっと片口角をつり上げて一言。
「可愛らしく“縛らせてください”って言え。そうしたらテメェを縛ってやる」
プチのブッチン。
向こうの短い堪忍袋の緒が切れたようだ。
「あ、あたしに向かって」
言えとはなんだ、言えとは。しかも縛ってやるだと? ほざくのも大概にしろ!
怒り心頭するあたし様にバーカと大雅は指でさして大笑いする。
当然今のはわざとである。
なにせお互いにあたし様俺様、上から目線は毛嫌う人種であるからして、こんな台詞を吐けば当然鈴理はキレるであろう。



