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午後6時15分ちょい過ぎ、車内にて。
「ははっ、ま、俺様にかかればこんなもんだ。タイムセールってのも案外大したことなかったなぁ。ほら、バッチリ手に入れてやったぜ、激安商品。金持ちを舐めんなよ」
鼻高々と入手したサンマの缶詰を見せ付けてくる大雅先輩は、ヨユーヨユーとデカイ態度で高笑い。
便乗して鈴理先輩もレトルトカレーの入った箱を川島先輩に見せながら、「どうだ」これがあたしの実力だと胸を張っている。
宇津木先輩は宇津木先輩で動物さんクッキーの箱を眺めながら、スーパーというところは面白いですねぇと感想を述べていたし、飛び入り参加した御堂先輩は御堂先輩であらゆる角度からスルメを物珍しそうに見つめている。
で、俺と川島先輩はというと、各々の反応を目にし、お互い視線を合わせ、大きく溜息。
これだから某坊ちゃん嬢ちゃんは…、と苦い顔を作っていた。
先にタイムセールの結果を報告すると、俺としては上々の勝利を手にすることに成功。
狙っていた商品がゲットもできたし、これも欲しいかもなぁって思ってた予備軍の商品も幾つかゲットできた。千円以内におさまったしな。
今回のタイムセール戦争は見事に勝利してやってぜって気分。
これで一週間、どうにか暮らしていけそうだ。
一方、箱入り息子娘はタイムセールというものを何か勘違いしていたようだ。
安い商品イコール、タイムセールの商品。
確かにその認識は間違っちゃなかったんだけど、お嬢ちゃま坊ちゃまにはすべてが安く見えたらしく、俺が揉みくちゃにされている間、対象外の商品を悠々と手に取ってお買い上げしていた(チラシ見せた意味なしじゃんか!)。
買った商品をそのまま川島先輩のところまで持っていて自慢していたらしく、「アホバッカ」彼女はスンゲェ呆れていたとか。
こうして今も自慢しているところがなんともなぁ…。
皆、普段商品の定価を気にせず買ってるんだろうな。
俺も気にせず商品を買ってみたいよ。