「好きって早く言えたら……、いいんっすけどね」


たまに御堂先輩が寂しく笑ってくる気がする。

それは俺が気持ちに応えていないからと、借金という媒体で関係を築き上げているこの状況に憂いを感じているからだろう。


ごめんなさい、貴方の気持ちに応えられなくて。

貴方はこんなにも傍にいてくれるのに。


でも約束します。

何が遭っても守るって。

見合うだけの男になれるよう努力しますから、だから、女の自分を否定しないで下さい。


―――…守りたい、この気持ちは貴方だけのものっすよ。御堂先輩。
  
 

(鈴理先輩はどうしているんだろう? ……やっぱり英也さんに白紙にするって訴えているのかな)
 
 

彼女は言い出したら聞かないからな。

吐息をつき、俺は婚約者の髪を撫ぜる。


柔らかな髪質だよな、御堂先輩の髪。


短髪になってから跳ねやすい髪になっちゃったけど、触り心地は長髪の頃と変わらない。


眠れないや、明日から、いや今日からハードスケジュールが待っているのに。

眠気はきてくれない。



いつまで経っても、きてくれない。
 
 

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