前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



静まり返る室内。

各々が各々とも目でああやってしまった、大変なものを見てしまいました、どうしよう見られたっす! とフリーズしている。

唯一平常心を保っている御堂先輩は顔を上げ、俺の肌蹴た浴衣を軽く引き戻しながら能天気に茶菓子はそこに置いてくれと指示した。

「ああ、そうそう。入浴は朝に回すから」

そう付け足して。

なんで貴方様は動揺しないんっすか!
心が鋼鉄なんっすか!
俺のハートは既に羞恥によって砕かれそうっすよ!

「これはこれは」睦まじいお時間に大変失礼致しました、思考が解凍されたのか博紀さんがいつものように微笑んでくる。

召使歴五年目のベテランは腕を見せた。


「茶菓子はテーブルに置いておきましょう。さと子、茶菓子を」


彼はさと子ちゃんにお盆を置くよう手で示した。

数秒後に解凍されたさと子ちゃんは、こくこく頷いて素早くテーブルへ。

お盆を置いてしまうと、逃げるように博紀さんの下に戻る。
顔はまだ真っ赤っかだ。そんな顔されると俺も恥ずかしくなる。

召使さん二人はごゆっくりと頭を下げると、何事も無かったかのように障子を閉めてしまわれた。

大袈裟にリアクションを取ってくれた方がまだ気が楽だったのに、笑顔で閉められてしまわれたよ。余計羞恥が込み上げてくるんだけど。

日本語がおかしくなるくらい恥ずかしい。

睦まじいお時間ってオブラートに包んでいるけど、けどさ!

「あっ…、ちょ」

軽く耳を食まれ、現実に息を吹き返した俺は微かに濡れた首筋と、優しく吸ってくる御堂先輩の感触に身じろぐ。
その唇が柔らかでくすぐったい。


「先輩。見られたんっすけど」


よりにもよって攻められている姿をっ。

女に攻められている情けなーい男の姿をっ。

どうしてくれるんっすか。
さと子ちゃんと顔を合わせづらいじゃないっすか。


軽く非難すると、今はどうでもいいことだと御堂先輩。

「他人事ですね」

相手を睨むけど、彼女の射抜く眼光の強さに毒抜かれた。


「どうでもいいんだ」


だって今は僕と君の時間だから、御堂先輩はそこに痕をつけるため強めに吸って俺と視線をかち合わせる。