ちょうだいってあれでしょ。
性的な意味でしょ。
困ったな。
スチューデントセックスは断固として拒否しているんっすけどね、俺。
それを知っていて約束を結びつけたのは貴方っすよ。御堂先輩。
俺が嫌って言ったら怒るでしょ?
どーするんっすか。
三ヵ月後、本当にそうしちまったら。
……貴方は後悔しないんっすか? 相手が俺で悔いはないんですか? 言っときますけど俺、経験なんてこれっぽっちもないんっすからね。
答える代わりに目を伏せて俺は相手の肩口の額を乗せる。
彼女は和物が似合う、なで肩なんだと関係のないことを思った。
―――…本当はどうすればいいか分かっているのにな。
鈴理先輩には大雅先輩がいるって分かっているし、向こうの親御さんにだって頼まれた。先輩達の未来を思うなら、どうすればいいのか分かっているのに。
俺だって借金を負った成り行き財閥子息候補。
義理であっても俺は財閥界に足を踏み入れる。
父さん母さんが背景にいるんだ。
立たされた現状は分かっているのに。
人間はもう少し馬鹿で単純になるべきだと思うよ、ほんっと。
「いいっすよ」
気付けば口が動いていた。
相手の微温を感じたまま、俺は答える。
その日がきたらあげます、全部。
性的な意味じゃあげられるかは分からないけれど(いやだって学生の間でデキちゃったらどうするんだい。子供もかわいそうだろ! 安易にセックスはするもんじゃないよ!)、少なくとも気持ちだけは。
俺の中でも三ヶ月は区切りであり、ケジメだって決めている。
本気で好きになるって決めた。
守るだけじゃない、好きになると決めているんだ。
だからその時がきたら。



