前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



ちょうだいってあれでしょ。

性的な意味でしょ。


困ったな。

スチューデントセックスは断固として拒否しているんっすけどね、俺。


それを知っていて約束を結びつけたのは貴方っすよ。御堂先輩。

俺が嫌って言ったら怒るでしょ?


どーするんっすか。

三ヵ月後、本当にそうしちまったら。

……貴方は後悔しないんっすか? 相手が俺で悔いはないんですか? 言っときますけど俺、経験なんてこれっぽっちもないんっすからね。
 

答える代わりに目を伏せて俺は相手の肩口の額を乗せる。

彼女は和物が似合う、なで肩なんだと関係のないことを思った。
 


―――…本当はどうすればいいか分かっているのにな。

 

鈴理先輩には大雅先輩がいるって分かっているし、向こうの親御さんにだって頼まれた。先輩達の未来を思うなら、どうすればいいのか分かっているのに。

俺だって借金を負った成り行き財閥子息候補。

義理であっても俺は財閥界に足を踏み入れる。


父さん母さんが背景にいるんだ。

立たされた現状は分かっているのに。


人間はもう少し馬鹿で単純になるべきだと思うよ、ほんっと。
 


「いいっすよ」
 
 

気付けば口が動いていた。
 
相手の微温を感じたまま、俺は答える。

その日がきたらあげます、全部。

性的な意味じゃあげられるかは分からないけれど(いやだって学生の間でデキちゃったらどうするんだい。子供もかわいそうだろ! 安易にセックスはするもんじゃないよ!)、少なくとも気持ちだけは。


俺の中でも三ヶ月は区切りであり、ケジメだって決めている。

本気で好きになるって決めた。

守るだけじゃない、好きになると決めているんだ。
 

だからその時がきたら。