結局、迎えに来た御堂先輩がイチゴくんに闘争心を向けてしまったために、某ファーストフード店を出たのは九時になってしまった。


随分長いこと居座ってしまったけど、俺は三人と別れを告げて御堂先輩と共に帰宅した。
 

居候の身分で長い時間遊んでしまったことをちょっち後ろめたく思っている俺は怒られると覚悟していた。

が、出迎えてくれた博紀さんから告げられたのはお叱りの言葉ではなく、至急大間に来るようにとの要請。

御堂夫妻が激怒しているのかもしれない。


緊張やら不安やらを抱えながら先輩と大間に向かった。

彼女は気鬱を抱く俺に大丈夫だって励ましてくれたけれど、気は重くなるばかり。


生唾を飲んで大間に入ることとなった。



不安が爆ぜたのはこの直後。

そこで待っていたものはお叱りどころの話じゃなかった。

何故ならば大間には御堂夫妻、並びに会長の座に腰を据えている御堂淳蔵さんがいたのだから。

淳蔵さんも夫妻も長テーブルの片側に腰を下ろしている。妙に源二さんの表情が硬く、一子さんの顔色が優れない。

また孫に当たる御堂先輩も祖父の存在にドドド不機嫌になり、俺は俺で心構えもなく現れた淳蔵さんに眩暈がした。


一度しか会ったことがないけど、この人の存在は心構えの一つでもしておかないと気が滅入りそうなんだ。それだけ威圧感が凄い。


どうにか気を持たせると俺は深くお辞儀を一つ、挨拶をして婚約者と共に中に入る。
 
柔和に、だけど何処か翳りのある笑みを浮かべている淳蔵さんは俺達に座るよう指示した。

含み笑いが不安を煽るけれど、黙って淳蔵さん達とは反対側の席に着く。