「主婦は苦労してるんっすよ。お金持ちにはお金持ちの苦労があるようっすけど、庶民には庶民の苦労があるっす。

こっちの苦労も知らず、“野蛮”なんて言い草、貴方が毒づく権利一抹もないっす」
 

先輩方からお聞きしていますが、貴方様は超が付く男嫌いらしいっすね。

男の俺が参戦したいから、軽はずみで言ったかもしれないっすけど……、でも、皆必死なんっす。

俺に毒づくならまだしも、今の台詞は男女関係なく生活を背負っている人たちに対して失礼極まりないっす。

 
「そりゃ価格も気にせず贅沢に買い物したいっすよ?
でも生活があるからしゃーないんっす。
先輩、タイムセールは主婦の味方、庶民の味方、そして日本人の味方だってことを忘れないで下さいっす。OKっすか?」


同意を求めると、熱弁していた俺に呆気取られたのか、ぽかんと御堂先輩が見つめてくる。

お返事がないのでジーッと視線で威圧をかけた。

我に返った彼女は決まり悪そうに、ぽりぽりと頭部を掻く。


男嫌いとはいえ悪い人じゃないらしい。


「分かった。僕の非を認めよう。君の言うとおり、生活を背負っている人間を蔑む権利など僕はないだろうからな」
 

ごめんなさいをしてくれたから、俺も大満足だ。

一変して笑顔を作り、「俺も生意気言いました」ごめんなさいをして口にして、はい、仲直り。


男を毒づく気もそがれたのか、「君は主婦みたいな男だな」と苦笑された。


おっとそれには異議ありっすよ。