乱心、発狂、羞恥、そして自信喪失。
複数の感情が入り乱れている俺の隣では、プリンセスが満足げに口角をつり上げている。
やられるよりやるほうが楽しいとのたまう彼女は、俺に子供は男女両方欲しいもんなぁ? っと質問してきた。
もうどうでもいいっす。
二人でも三人でも、飛んで十人でもどんと来いっす。
俺、頑張りますから。
「空くん。一応聞くけど、頑張るって産むの意味じゃないよね? 君、男だよ」
だってシュワちゃんは男でも妊娠できていたよ(某映画の話だけど)。
ズーンと落ち込んでいる俺を余所に、「いいじゃんか空!」これぞ本当の肉食草食カップルってカンジがする、とイチゴくんが励ましてくれた。
「ほらさ」どんなに肉食女でも、最後は男に食われちまうパターンが多いじゃんか。
でもお前等にはそれがなさそう!
そう、真正の肉食草食カップルなんだ!
希少だぞ!
彼は爽やかな笑顔で親指を立てた。
……この野郎。
事の元凶はイチゴくんなんだけどっ、御堂先輩の闘争心を焚きつかせてからに畜生。
「とにかくさ」
折角こうして知り合えたんだから、今度五人で遊ぼうとイチゴくんが話題を切り替えた。
すこぶる不機嫌になる御堂先輩をスルーして、「バッティングセンター行こう」イチゴくんが積極的に誘ってくる。
ぼっちでバッティングしていたことを相当根に持っているらしい。この面子でいいから行こうと提案。
「なんで僕まで面子に入っているんだ。花畑」
「いいじゃん、ご縁あって此処にいるんだし。行こうぜ。女でも楽しめると思うしさ。それとも運動駄目? 王子のくせに?」
「……、今のは挑発として受け取っておこうか。僕が君に負けるとでも?」
「勝負はやってみねぇと分かんないもんだぜ。俺は御堂に勝つ自信大有りだから!」
「チッ、年下のクセに僕のことを呼び捨てとは生意気な。君にはひとつ、身の程知らずという言葉を叩き込んでやろう」