前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―




それでも彼女は大爆発しそうだったから、俺は捨て身で「俺の体に触っていいっすから!」じかでも超OKっす! 御堂先輩に訴えた。


ついでに(セックス以外)のお願いも聞いちゃいますっす!

必死に訴えると、御堂先輩が一変してニコッと笑顔を作った。


「それは良いことを聞いた。何をされても文句は言わないね?」


言葉に嘘偽りは無いな、無いよな、なー? と聞かれてしまい、俺は大後悔。
 

だがしかし、言ってしまった以上腹を括らなければならない。

涙を呑んで俺は頷く。好きにして下さい。

この際、ある程度の羞恥は我慢しますっす。

 

「じゃあ、たとえば今此処で僕が『豊福から触って欲しいとねだって』と望めば言ってくれる?」



!!!
 
 
もうすでに羞恥の許容を超えてしまったのだけれど、俺はどうすればいいんでっしゃろう?
 
半泣きになりつつ、フライト兄弟やイチゴくんの存在を気にしつつ、小声で触って欲しいです、と呟く。

白々しく聞こえないと首を傾げられたのでヤケクソになって、「俺に触って欲しいです!」と言った。声を張って言ってやった。

もうどうにでもなれである。
 

けれど恥ずかしさのあまり、テーブルに撃沈したのは許して欲しい。

俺も感情を持った人間であるからして、羞恥の許容を超えたらパニックになってしまうのだ!


「~~~っし、死にたい。ほんっとうに死にたいっ」


「そ。空くん」なんて捨て身を。君は立派過ぎるとエビくんが眼鏡を取って目尻を指で擦り、「空。お前」男の中の男だぜ、アジくんが勇姿を称えてくれた。


イチゴくんはまだ手のひらを見つめてわなわな震えている。

健全で純情少年の反応だね、イチゴくん。


「ふふっ、可愛いね。いいよ、豊福達の誠意は受け止めてあげる。だがやるべきことはやっておかないとな」
 
 
ちょっち機嫌を取り戻してくれた御堂先輩は、指の関節を鳴らすと次の瞬間ゴン―――ッ!

 



「アーイテテテッ。超拳骨いてぇ。いや俺も悪かったけど、ここまで本気で殴らなくてもいいじゃんか。
学ランに短髪でイケメンなんて、どっからどう見ても男だろ?

そりゃ声とか体型とか見ればさ、男とは違うと思うけど……、先入観で男って思い込んじまうじゃん。めっちゃ美少年だし」

 
頭部を擦るイチゴくんは開き直ったようにブツクサ文句垂れていた。
 
痛恨の一撃を脳天に食らい、そのあまりの痛さに自分だけが悪いんじゃないと思ったらしい。

「このド阿呆」隣に座っているアジくんが容赦なく頭を叩いて、反省しろと咎める。


そんなこと言っても勘違いするじゃないか、俺の隣に座っている御堂先輩に視線を流してイチゴくんが肩を竦める。


逃げるように向こう側の席に移動してしまったエビくんが、友人が粗相をしてしまいすみませんと改めて頭を下げてくれる。俺も一緒にごめんなさい。
 

不機嫌に眉根を寄せている御堂先輩は、「豊福の友人だから許す」もしそうじゃなかったら地の果てまで殴り飛ばす予定だったと鼻を鳴らした。
 
ただでさえ男嫌いの彼女だ。男と一緒にいるだけでも普通に不機嫌なのに、まさかの不本意乳揉み事件が勃発してしまったため婚約者の機嫌は最高に悪い。

 
ほんっと申し訳ないっす。
 
女性にとって屈辱的出来事だと思うんで、だからその、我慢するっす。太ももを撫でられる行為。


俺から言ったんだし、が、が、が我慢するっすよ!