前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



まるでクラスメートのように場を盛り上げ、面白い話を聞かせてくれるもんだから、ついつい時間も忘れて駄弁りに夢中になってしまう。

暫くイチゴくんの近状を聞かせてもらっていたんだけど、話題のネタが尽きたのか、はたまた喋るのに飽きてしまったのか、バトンを俺に向けてきた。




「なあなあ。例の彼女とどうなっているんだ? 最近アジから聞かないんだけど」




ほら、雄々しいって噂の彼女。

ニンマリ笑ってくるイチゴくんに、「え。あ」俺はしどろもどろになった。

イチゴくんの指す彼女って鈴理先輩のことだよな。


いや、どうなったかって言われると、その、別れたとしか言いようが。


冷え始めたポテトを口に入れて咀嚼する俺に、「あー」ちょっと複雑なことになってるんだよな、とさり気なくアジくんがフォローしてくれる。

「ナニ? 喧嘩でもしてるの?」

まったく事情を知らないイチゴくんが興味を示してきた。

そりゃ俺以外の二人は知っていて、イチゴくんだけ知らないとなると、疎外感も出てくるだろう。

フライト兄弟の気遣いも見え見えだし。


教えてくれてもいいじゃないか、イチゴくんの表情が渋くなった。

俺、他校だから誰かに喋りようもないし、不機嫌に鼻を鳴らす。


折角仲良くなったんだから、輪に入りたいってのが念頭にあるんだろうな。


その気持ちはすっげぇ分かる。
仲良くなったらなっただけ、身近な情報とかも共有したいもんな。

なによりイチゴくんなら喋っても大丈夫な気がした。

彼とは気が合うんだ。

幼少期に仲良くしていた記憶が、どっかで根付いているのかもしれない。


「例の彼女とは別れたんだ」


俺は話題を切り出した。
気が合う合わないで別れたんじゃなくて、身分の違いで…、と小声で説明する。


「向こうは令嬢だし、俺は庶民だったから。ご両親から別れて欲しいって言われちゃって。元々彼女には許婚がいてさ。婚約するからって」

「ゲッ、なにそのヘビーな話。お前、そんな重たい恋愛してたのか? 噂を聞く限り破廉恥極まりなかったけど」


……アジくん、イチゴくんにどんな話をしてくれていたんだよ。


「それで、その別れて今は取りあえず、友人関係に落ち着いているんだ。取りあえず。ただその、俺、まだ未練を持っちゃって。だから俺の…」

「あー、そりゃあな。未練になるわ。で? だから新しい彼女を作っても想いが断ち切れないと?」