前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―




「まーじなくね? 俺、クラスの奴と数人で来たんだけどさ。どいつもこいつもバッティングじゃなくて、ゲーセンに行ったんだ。ほら、上の階にあるじゃん?

俺はバッティングしたかったのに、全員が全員ゲーセンに行っちまって。気付けばぼっちにさせられてさ。メールしても返事なーし。

むっちゃ腹を立てながらぼっちバッティングしていた時にアジに会ったんだ。

助かった。ぼっちとかムナイもんな。
あいつ等は知らん、もう知らん。メールが来てたけどシカトしてやる」

 
相当不満が溜まっていたのか、イチゴくんは着席早々俺達に愚痴を零してきた。

てりやきバーガーにかぶりついて鼻を鳴らすイチゴくんは口の中の物を嚥下すると、「お前らもバッティング?」と質問を飛ばしてくる。

首肯すると、「今度俺も仲間に入れてくれよ」あいつ等じゃ駄目ってことが分かったし、お前等となら楽しそう。と、期待の眼を向けてくる。


相変わらず強引ゴーイングくんだな、イチゴくん。

勝手に一人で話を進めるんだから。


そこがイチゴくんの良いところなんだけどさ。
 

「あ。そういや、眼鏡の奴とは初対面だっけ。俺、イチゴ。お前、噂のエビだろ。宜しく」



ぐふっ、俺の斜め前に座っていたエビくんが飲んでいたプレミアム珈琲を噴き出す。
 
盛大に咽るエビくんは「なんで君が僕のあだ名を」しかも自分イチゴって…、眼鏡のレンズを外して汚れを拭いていた。

「本多から色々聞いてるんだぜ」

俺達おな中だったし、得意げな顔を作るイチゴくんは二人がどうしてエビとアジになったのかも知っていると満面の笑みを浮かべた。

大きく溜息をつくエビくんは、「イチゴって空くんでしょ」ジロリと俺を睨んでくる。

だーって親切に苺飴くれたんだぜ? 彼をイチゴくんと名づけないでどうするよ。
 

「空くんだけ名前なしとか不満なんですけど」

「じゃあ俺、これから英語で名乗るよ。スカイって呼んでいいから!」

「中二くせぇ空! それ、呼ぶ方がつらいハズイ!」
 

俺の真正面に座っているイチゴくんが大笑いしながらツッコんできた。

いやだってエビくんが不満を漏らすんだもの。
 
これでも平等に考えたあだ名だよ?

ソラマメでもいいけど、それは呼び難くそうだ。


俺の意見に三人もそりゃそうだと笑った。