クサイ話をして更に待つこと五分。
アジくんが戻って来た。
俺達は開口一番に彼に聞く、ちゃんと手は洗ってきたか? と。
「なんだよその疑いの眼は。ちっげぇぞ、俺は小便だったんだって!」
「でも悪い悪い」知り合いに会っちまって、片手を出すアジくん曰く、どうやら駄弁っていたらしい。
本当か、と白眼視する俺達に「ほんとだって!」ほら、そこに知り合いがいるから!
あいつが証人だと親指で背後をさす。
アジくんの向こうに視線を向けた俺は、「あ!」と声を上げて立ち上がった。
やあやあ、どもども。
そんな能天気な挨拶をしてきたのは、他校の制服を着た男子生徒。
学ランを来た短髪の男子高生に俺は手を振る。
「イチゴくんじゃん!」
イチゴくん。
本名は花畑翼くん。
近隣町に住んでいる彼は俺とかつて隣人さん関係にあった。
実親と住んでいた頃のアパートの隣人さんで、とても仲良くしていた(らしい)。
当事者同士は覚えていないけれど、縁があってまたこうして仲良くしている。
あんま会えないけどメールのやり取りはよくする方だ。
ちなみになんでイチゴくんかっていうと苺飴をくれたのがきっかけだったり。
「おひさ」ひらひらっと手を振るイチゴくんは、「おはつ」エビくんに簡単な初めまして挨拶をして奇遇じゃんかと綻んできた。
「まさか空達に会うなんて思いもしなかった。マジラッキー! ちょ、仲間に入れてもらっていい? 丁度暇してたんだ、俺」
連れはいるんだけどさ、意味深に肩を竦めるイチゴくんにはどうやらワケがあるらしい。
折角会ったわけだし、俺は即答でOKを出した。
アジくんは勿論、エビくんもOK。
早速場所を移動して、Mの付くファーストフード店で駄弁ることにした。



